出版社内容情報
永き眠りを妨げる殺人者は誰だ――?
時を超えた”奇想”が爆発する――壮大無比な特殊設定ミステリ
若くして妻を喪い失意に沈むクランは、人類初の冷凍睡眠(コールドスリープ)実験に参加する。さまざまな事情を抱えた男女7名は「テグミネ」という殻状の装置で永きにわたる眠りについた。
――そして、1000年後。目覚めたクランたちはテグミネのなかでミイラと化した仲間の他殺体を発見する。犯人は誰なのか。施設内を調査する彼らが発見したのは、さらなる“顔のない死体”で――
俊英が魅せる、本格ミステリの新たな地平。
内容説明
若くして妻を喪い失意に沈むクランは、人類初の冷凍睡眠実験に参加する。さまざまな事情を抱えた男女7名は「テグミネ」という繭のような装置で永きにわたる眠りについた。―そして、1000年後。目覚めたクランたちはテグミネのなかでミイラと化した仲間の他殺体を発見する。犯人は誰なのか。施設内を調査する彼らが発見したのは、さらなる“顔のない死体”で―俊英が魅せる、本格ミステリの新たな地平。
著者等紹介
麻根重次[アサネジュウジ]
1986年生まれ。信州大学大学院で進化生物学を専攻し、その後現在まで公務員として勤務。2023年、『赤の女王の殺人』で島田荘司選第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
118
誰が?に心囚われる一冊。眠りから覚めた世界は未来かあの世か…。1000年にわたる永き眠り、"コールドスリープ"の実験に参加した7名。彼らが眠りから覚め目にしたのは仲間の内の一名の他殺体だったことから始まるミステリ。初っ端から誰が?に間違いなく心囚われる展開が面白い。そして更なる顔なし遺体の発見、未知の世界での生活、どんどん積もる謎がさらに面白さに拍車をかけていった。全ての事実の綺麗な繋がり、気持ちよく解ける感覚といい満足。それにしても千年後、いや、十年後の地球はどうなっているんだろう。想像したら、ぶるっ。2025/04/04
absinthe
93
あまり好みでなかった。もともと推理は好きでなく、設定にも魅力を感じられなかった。absintheは結末を重視しないから、途中の世界や人物が魅力的ならもう少し肯定的にとらえられたかも。SF的に設定が雑でも気にしない質なんだけど、人物(犯人)の行動がちょっと突飛すぎる。普通に考えて、他にやり方はあるだろうに。2025/07/19
yukaring
86
千年の時を渡る壮大なSFミステリ。人類初のコールドスリープのプロジェクトに参加した7人の男女「未来をこの目で見たい」「今の世に未練はない」さまざまな理由でこの実験に臨んだ彼らが千年後に目覚めた時、装置の中で仲間のひとりが殺されていた!千年間密室となっていたはずの施設。その中で見つかるまた別の顔のない遺体。犯人は外部の人間なのか、それとも…。混乱する彼らに追い討ちをかけるような外の世界の今。予測不能な展開にハラハラさせられる。特殊設定を存分に活かした奇想が炸裂する仕掛けに最後まで驚かされるトリッキーな1冊。2025/02/11
aquamarine
66
千年の冷凍睡眠実験に参加した7人。目覚めた時、一人は他殺体のミイラと化しており、更に別の遺体が冷凍室で発見される。内側からしか開かない施設の中で千年の間に何があったのか。なぜ研究所の人間はこないのか…。凄いリーダビリティで読ませるSFミステリ。多少気になったり予測のつく部分はあるものの、WhoだけではなくWhy,When,Howまで考え、さらにどう収束するのか気になってぐいぐい読み進んだ。震えるほどの真相と全てを理解し踏み出すラストシーンは圧巻。私も人間はそんなに弱いものではないことを信じたい。2025/02/20
はにこ
65
初読みの作家さん。カタカナの名前が覚え辛いと思いながら読んでいたけど、これもしかして日本人の苗字じゃ?と思い至る。分かったのはそれだけ。1000年の時を超えて来た主人公たち。しかし、1人は途中で失敗したのか、ミイラに。そして謎の少年の死体。さらに殺人事件と謎がゴロゴロ出てくる。また、現代の非モテ男の話とどう結びつくのかも謎。それが全て結びついたのがすごい。よくこんな話おもいつくね!楽しめた。2025/07/07