内容説明
20世紀!人類史上全く例外的な100年。昭和史と日蓮主義から『ライフ』の女性写真家マーガレット・バーク‐ホワイトまで、ハプスブルク家最後の皇女から匪賊までを論じ、この時代の諸相を剔出した現代文明論。最も息の合った大知識人二人が20世紀とは何であったのかを考えようと、絶妙の話芸を繰りひろげる歴史対談。
目次
カメラとアメリカ
ハプスブルク家の姫君
匪賊と華僑
近代日本と日蓮主義
サッカーは英国の血を荒らす
辺境生れの大知識人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
48
山崎正和という知性に最近、興味があって、本を探していたら司馬遼太郎や丸谷才一という馴染み深い作家と対談をしていたので、ぼちぼち読んでます。しかし、どこか噛み合わなかった司馬さんとの対談と比べ、丸谷さんとの息のあいっぷりはすごいですね。写真家、ハプスブルクの皇女、中国の匪賊、日蓮主義、フーリガン、エリアーデについての本をテーマに縦横無尽に繰り広げられる対話は、実に知的興奮に満ちています。帝国の崩壊後の二十世紀初頭が暗殺の時代で、そこから組織の時代がくるが、また組織が崩壊して暗殺の時代になる、というあたりが、2025/09/26
武井 康則
9
対談回数が100回を越える両者だから、意外のないのは仕方ない。二人がお互いの蘊蓄を誉め、補完するくだりは予定調和の世界だが、内容が流石なので仕方ないか。女性写真家、ハプスブルク家、馬賊、フーリガン、エリアーデを取り上げ、近代に入った世界が、どんなふうに前世紀と違う変化をしていったかが描かれる。20世紀と言うより近代への変化を穿った視点から描いている。2025/06/16
Akito Yoshiue
5
サッカーとイギリス社会の関係を分析する語り口の見事さなど、唸らされるところが多い。2016/05/29
May
4
100回以上も対談をしているという二人の博覧強記、特に博覧には、驚嘆するほかない。博覧に裏付けられた二人の議論の射程は限りがなく、二人と同じだけの知識を有しているはずのない私は、二人が議論しているさまを、無音の映像を見ているにすぎないとまでは言わないが、残念ながら傍観することにならざるをえない。二人が語るもののみを知ることでも知的満足感を満たすことはできようが、一冊から一つだけでもいいから、一歩踏み出して自分で深堀してみるということをしてみてもいい。と思った。してみたい、じゃないところが弱いけど(笑。2019/11/26
ハイランド
4
ご両人の博識がすごすぎる。自身の無知が辛いぜ。そうか中華人民共和国の成立過程から、今の姿は必然なのか、うんうん。それにしてもバークホワイト。165センチの身長て小柄なのか?2014/02/21