内容説明
科学者の父親と穏和な母親に育てられた医学生の馨にとって家族は何ものにも替えがたいものだった。しかし父親が新種のガンウィルスに侵され発病、馨の恋人も蔓延するウィルスに感染し今や世界は存亡の危機に立たされた。ウィルスはいったいどこからやって来たのか?あるプロジェクトとの関連を知った馨は一人アメリカの砂漠を疾走するが…。そこに手がかりとして残されたタカヤマとは?「リング」「らせん」で提示された謎と世界の仕組み、人間の存在に深く迫り、圧倒的共感を呼ぶシリーズ完結編。否応もなく魂を揺さぶられる鈴木文学の最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
348
色々と無茶な展開。「らせん」はまだ納得できたがこれは学術的にも難解だし、世界観は「HELLO WORLD」、貞子遺伝子が世界を占めると遺伝的に不老不死となり多発性ガンウイルスが発生、って「百年法」と似てる。前2作が仮想現実で今作が現実で、仮想現実から持ってきた遺伝子を現実で生かし、現実でのガンウイルスを撲滅させるために仮想現実に送り返す⋯はあ?ぶっ飛びもいいとこで理解も追いつかず。ホラーでなくてSF。「世界を創造し、作動させるのは神の役割のはずである。ループに住む住民から見れば、創造主は神に他ならない。」2021/01/26
absinthe
212
リング、らせんの続編だが、absintheはこれが一番好き。良くも悪くも世界観を反転させた。前作が嫌いで拘りなかったことが良かったに違いない。こんなコンピュータは作れるはずなく、実物があったら見てみたいところだが。2番ではだめなんですか?で有名なスパコンの1兆倍の1兆倍よりもずっとすごい処理能力。 ★注意:リング、らせんが好きな人はがっかりするに違いない。良くも悪くも世界観はリセットされる。 2015/09/12
吉田あや
88
完全にホラーではなく、サイエンスミステリーにSFを入れ込んだ、スペーシー・マトリックス・貞子・リローデッド!!貞子が生んだリングウィルスは、転移性ヒトガンウィルスへと変化し、塩基配列はたった9つ。その9つの数字はすべて2のN乗掛ける3になっている。驚愕!!!…しない。理数系のセンスも知識もゼロだ!!という、自らの知性の欠如から、今回もすっかり理解するには及ばないものの、前に比べて数字的勘が今回はぐっときた。気がする。ほんのり。しかし、こんな壮大な世界を構築したなんて本当に凄い!2017/08/13
Tetchy
83
『リング』、『らせん』に比べると評判が非常に悪いのが気になっていた。そしてそれは確かにその通りであると認めざるを得ない物であることが解った。やはりホラーというジャンルは恐怖の根源についてある程度の謎解きは許せても、全てを解明するとなんともまあ陳腐になるなぁ。それはシリーズが続くにつれ『リング』>『らせん』>『ループ』とどんどん面白さが希薄になっていくように感じたから。始まりは「ビデオを観た人が1週間以内に死ぬ」というシンプルな設定。これをどんどん理詰めで解明しようとしたのがまずかったように思う。2010/02/14
キムトモ
80
再読。う゛〜〜んこれは評価が分かれるなぁ〜〜稀代の怨霊スターの世界観をこう着地させちゃ…読者は混乱しちゃうね…が感想。真田サン浩市サンをきちんと出演させて(前振りさせて)映像化すればそれなりのSF作品になるんじゃないのかな?(ノ-_-)ノ~┻━┻それでもやっぱり貞子お嬢が怨み回る作品を堪能したい🧟♀️2019/07/25