内容説明
二十一世紀へ向けて改革が進められている、わが国中央省庁の源、唐の三省六部。その機構の全体像を示し、若き日のキャリア官僚が就いた県尉こそ、税務署長と警察署長に外ならぬ、と説く。官僚に対する辞令書「制誥」と官庁の壁に書かれた「壁記」をもとに、唐代における行政機構と官僚社会について考察論証した比類なき名著。
目次
律令体制とその崩壊（律令制のたてまえと現実；律令官制と令外の官 ほか）
貴族の時代から士大夫の時代へ―宋代士大夫の成立（貴族と士大夫；隋における科挙の成立；唐代の科挙と貴族 ほか）
唐代の県尉（庁壁記からみた唐代の県尉；唐代県尉の分掌 ほか）
唐代の制誥（中書制誥と翰林制詔；制誥作成の手順 ほか）
唐の三省六部（中書舎人と給事中；尚書省六部の諸官）
唐の官制と官職（科挙；『大唐六典』の官制；令外の官―とくに地方の使院）
感想・レビュー
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韓信
1
唐宋変革をふまえ、唐代律令制と令外官の運用や官僚の肩書について、その実際を動的に描く論文集。制誥や壁記をもとに、県尉や州の上佐などの地方官や中書舎人ら詔勅に携わる顕官の実態と、それらが官僚の出世コースのどこに位置付けられていたのかを探る。学生時代に読んだ論文もあるけど、やはり唐代の官制についての基礎を抑えられる内容なので、卒論で墓誌を使う学部生は早めに読んでおいた方がよい。墓誌同様、制誥にもひな形があり、白居易のような名人のものが重宝されたという話は、コピペで仕事をしがちな現代公務員にも通じるものがある笑2020/11/29
りしょう
1
唐の官僚機構について書いた本。制誥や壁記を使用して県尉について述べている。また、三省についても詳しく書かれている。2018/03/29
すいか
0
ン十年ぶりにちゃんと読み返したんですけど、昔院の先輩が「唐代史は偏執狂の学問」と語っていたことをしみじみ思い出しました。2020/07/19
