出版社内容情報
学術用語によらない日本語で、永遠に発生状態にある哲学の姿をそこなうことなく語ろうとする、〈哲学の巫女〉による大胆な試み。〈解説〉斎藤慶典
内容説明
学術用語によらない日本語で、永遠に発生状態にある哲学の姿を損うことなく語ろうとする試み―。「哲学の巫女」を自負する著者による、従来の哲学史とは全く趣きを異にした意欲作。
目次
1 騒ぎのもと
2 ことの起こり
3 処生術
4 学問はお嫌い?
5 黙らっしゃい!
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
83
哲学者の考え方についてこんな見方をしてみたいと思っている人におすすめの本になっている!これは池田晶子さんが色んな哲学者の考え方の「読み」についてまとめた本になる。そして池田晶子さんがヘーゲル以外の哲学者をバッサバッサとなぎ倒していく。もうそれこそ日本刀の居合斬りである。思考という日本刀の切れ味抜群。そして話し言葉オラクルで語られているため硬い印象を感じさせない。だが哲学の知識がある程度ないと読んでいて厳しい。思考の顎で噛み切るのが本当にやっとであった。また再読したい本になっている!2023/01/29
呼戯人
12
池田晶子は根っからの哲学者だと思う。自分の言葉で自分の思考を紡ぎだす。この性質は一生抜け出せないものだと思う。思考は続く。生きている限り。いや思考の中で生は展開する。ヘーゲルもカントも・・。2015/10/06
海燕
7
「口伝西洋哲学史」とあるが、哲学の概説とか入門の書ではない。骨のある哲学エッセイといったところか。主に通勤電車で読み続けたので時間がかかった。それぞれの哲学者の思想をおおまかに把握してから読む方が、理解しやすい。著者がヘーゲルをひいきしていることは分かったが、哲学史上のビッグネームを次々に斬っていく、その原動力は何だったのか? 哲学をする上で哲学史を学ぶことは必須だが、現代の日本で、それを越えて自ら哲学者たらんとした数少ない1人ではないだろうか。2021/04/10
はすのこ
7
良書。平坦な言葉で哲学を語っていく試みは、案外、難しい。2017/01/24
ジコ坊
7
「わからなさが嵩じてありがたさに転じるか、わからない腹いせに批判するか以外の哲学評を、私はほとんど聞いたことが無い。」哲学者、と一般に呼ばれる人たちが、一体何を伝えたくて論理を組み立てるのかを、古今西洋哲学者を例にとって説する本。序文での宣言通り彼女自身の文体は平易だが、紙面の多くが上記のような「自称」哲学者への批判と皮肉に充てられているため、哲学の原典が難しいのとは別の意味で、「論旨をくみ取りにくい」と言えるかも。2013/12/31