内容説明
八千メート峰に12回登頂の快記録をうち立てた登山家山田昇。とくに一九八五年には、世界最高峰のエベレスト、第二位のK2、そして厳冬のマナスルに連続登頂し、登山界を驚かせた。八九年冬、八千メートル峰14座完登を目前にして極北のマッキンリーに散るまでの稀有のアルピニストの生涯と、壮烈な高所登山の実態を克明に描く。
目次
第1章 登攀者
第2章 山麓の少年たち
第3章 アルパイン・ダンディズム
第4章 極道たちの家
第5章 心やさしき戦士
第6章 破局
第7章 火花
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
不羈
14
誰からも愛された登山家、山田昇氏のノンフィクション。そして高所にめっぽう強いイメージ。 森田勝氏や、長谷川恒男氏とはまた異なる人となりだろう。 そしてその彼でさえ命を失ってしまう山の切なさ、そして過酷さ。それでも山を選んでしまう男たち。 山は山だね。そこに在るんだね。何をどう感じるかは受け手である人そのものに依るとつくづく感じる。 ps.佐瀬氏の著作は自分には非常に読み易い。2012/12/05
つちのこ
5
単行本の旧版で読了。12回の8000メートル峰登頂をした山田昇の生涯を描いたドキュメント。著者のクライマーの一連のルポのなかでも完成度が高いと思う。山田昇は1980年代を代表するクライマーで、当時、毎週のように山に通い、岩を攀じっていた私の憧れだった。山田の最期は奇しくも植村直己と同じ冬のマッキンレー。どちらも忘れられない登山家である。(1990.12記)1990/12/28
yamakujira
3
8000m峰14座完登を目前にして、冬のマッキンリーで遭難死した登山家の生涯をえがく。山田の偉業を追いながら、高所登山の厳しさに身がすくむ。これほどの男でも「死」に魅せられてしまったのか。壮絶な生き方なのに、なぜか明るくも感じる。 (★★★☆☆)
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2024/10/12
Shoichi Kambe
1
*戦後の日本山岳会をリードしたのは、大学OBたちが集まる日本山岳会である。それに対し「町の山岳会」には、旧制中学やブルーのカラーの似合う男たちが集まった。 *山岳同士会には、あのころ、会員の一人ひとりに『死ぬ気で登る気はあるのか』『山か仕事か』『個人か会か』と厳しく問い詰めるような雰囲気があったらしい。 *山に死ぬのが嫌なら、始めっから山に行かない方がいい。松方三郎 *主人公山田昇は、8000メートル峰14座の完登を目指していた登山家。5座の残し、マッキンリーにて遭難。2022/01/06
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