内容説明
セックス、ポルノビデオ、売春夫、ドラッグ、パーティ…。ロサンゼルスの乾いた気候とＭＴＶをバックに、２０歳の新人が描く若者たちの生態。ゼロ・ジェネレーションの旗手の、ファッショナブルにして不穏な衝撃的デビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
85
同著者の「アメリカンサイコ」に感心し、二十歳のデビュー作のこれを手に取る。裕福な家庭の大学生主人公が大学休暇中の故郷のロスでの生活を描く。毎日パーティ、ドラッグ、セックスが続く。冷静な観察者のような主人公はごくたまにしか心情を吐露しない。ただそれが悲痛極まりない。そっけない空虚さはデビュー作でも同じだった。あまりにドライ。途中で機械的にページをめくってしまった。持て囃された著者だが一応はまだ生き残っているのでまぐれではなかったようだ。「限りなく透明に近いブルー」を少し連想。最近早川で文庫になったようだ。2018/10/08
田中
24
村上春樹さんが「ブレッド・イーストン・エリスの小説はわりに高く評価しているんです」と語っていたので手に取った。著者の処女作。裕福な家庭の大学生とドラッグ売人仲間たちのエピソードがくりかえされる。実業家の浪費的な家族たち、パーティーざんまいの享楽的な友人、刹那的な彼女たち。クレイの時間をもてあます日々に虚脱感が渦巻いている。彼らの心が定まらないうつろな暮らしぶりと、かみ合わない会話が、病的な雰囲気をかもしだす。そんな素朴な描写が妙に印象に残った。ドラッグ中毒になり「売春夫」にされた男の心情が生々しい。 2020/04/29
Hirouch
6
今読んでみると何が面白いのか、、、という印象です。あの時代の空気感を再現しているのでしょうが、それ自体もはやあまり価値を持たないのかと。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を読んでいる時と同じ感覚になりました。翻訳の影響もあるのかもしれませんが、読んでいる間中思い出していました。けれど調べたら『限りなく透明に近いブルー』の方が10年以上も前の小説なんですね。恐るべし村上龍。2020/03/02
yoshizawa tutomu
6
作中に常に死のイメージが付きまとっていて、読んでいてとても気分が重かった。朝から読んではいけません。印象的だったのは、リップが「持ってないものがあるんだよ」「俺には失うものが何にもないんだよ」というセリフでした。ものには満たされているけど、心は常に乾き、より過激なものを求め続けている。そんなところを的確に表現したセリフでした。主人公のどこか線を引いた付き合い方も、周りの友人たちの空虚感を一層引き立てていました。今、この世代の人たちはどんな生活を送っているのか、気になります。2017/09/06
owl&shepherd
6
休暇でニューハンプシャーの大学からLAに帰省した大学生が体験する「酒と薔薇の日々」。そこまで自堕落ではない。カネにもモノにも不自由することなく、アルコール、セックス、ドラッグ＆ロックンロールに流れる。決して溺れてはいない。もっとも、この1980年代にはロックも軽くなってきたからね。瀕死の少年、少女のレイプを目にしても助けようともしないクレイは、「アメリカン・サイコ」になるのか。2016/08/10
