出版社内容情報
文豪谷崎の流麗完璧な現代語訳による日本の誇る古典。日本画壇の巨匠14人による挿画入り絵巻。本巻は「桐壺」より「花散里」までを収録。〈解説〉池田彌三郎
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
52
主語が省かれているので、まるで原文を読んでいるかのよう。慣れてくると敬語の使い方でわかってくるけど、日本語とは何て奥が深いんだろうとしみじみと実感。もちろんこうした物語を紡ぎ出す紫式部や優雅に訳す谷崎が凄いんだけど。と、本筋とは関係ないことを考えてみたり。慣れると一気に源氏の世界に連れて行ってくれる優雅で典雅な谷崎訳、思ってた以上に面白い。次巻は須磨から、光クンはどれだけ嘆いていることか…想像できるだけに楽しみだ(笑)2020/04/26
syota
32
谷崎源氏は現在、青空文庫で入力作業中なので、公開されたらダウンロードしようとずっと思っていた。ただ、もうしばらくかかりそうなので我慢できなくなり、ついに図書館へ。読み始めると、桐壷の冒頭から完全に魅了されてしまった。私の源氏初体験は学生時代に読んだ与謝野訳で、これは今でも印象深い。近年、角田訳の上巻を読み、読みやすくて良い訳だと思ったのだが、文体がどちらも常体ということもあって、与謝野訳との大きな違いは感じられなかった。しかし谷崎訳はまったく違う。⇒2020/05/26
ビイーン
31
「源氏物語」は私自身の無教養からくる未熟さゆえに読むことをためらい続けていた。いきなりの原文では間違いなく遭難する為、訳文で読む。谷崎潤一郎訳は、日本語ってこんなに美しい言語だったのかと思う位、陰翳があり優美で女性的、なよやかである。しかし主語が少ないため、誰が誰に対してものを言っているのか分からなくなり、道に迷う事もしばしばある。無理をせずマイペースで読了したい。巻2へ。2020/02/15
かごむし
31
<全巻読了後再投稿>正直、こんなに面白いとは思わなかった。古典教養の枠に収めておくにはもったいない作品。源氏物語の世界は身分制度の厳しさがわからないと、その面白さが伝わらないと思うのだが、谷崎訳では、敬語を地の文に練り込んだまま現代語訳したことで、当時の空気感、絶望的なまでの身分の差が伝わってくるようで、その中での登場人物の複雑な心情がびんびんと伝わってくる。主語が大胆に省かれており、読みにくいけれどそれは少し我慢すれば慣れてくると思う。最初から面白いのだが、巻を追うごとに物語が膨らんで面白くなった。2015/06/23
こうすけ
29
とうとう読み出した源氏物語。せっかくなので谷崎源氏にする。すごい、面白い。思ってたより権力争いが激しく、それが物語に弾みをつけている。授業で学んだ内容はこの巻でほぼすべて出尽くした気がするが、このあとどうなっていくのだろう。夕顔、末摘花、葵の上、空蝉、藤壺、朧月夜など、光源氏よりも女性たちの魅力があふれる。特に若紫の話は、源氏の気持ち悪さもあいまって良い。2022/09/19