出版社内容情報
清朝末期、半世紀にわたって権力を握り続けた稀代の女傑、西太后。彼女の真の野望とは何だったのか。
内容説明
内憂外患にあえぐ落日の清朝にあって、ひときわ強い輝きを放った一代の女傑、西太后。わが子同治帝、甥の光緒帝の「帝母」として国政を左右し、死に際してなお、幼い溥儀を皇太子に指名した。その治世は半世紀もの長きにわたる。中級官僚の家に生まれ、十八歳で後宮に入った娘は、いかにしてカリスマ的支配を確立するに至ったか。男性権力者とは異なる、彼女の野望の本質とは何か。「稀代の悪女」のイメージを覆す評伝。
目次
第1章 清朝という時代
第2章 紫禁城の壁の中
第3章 戦争と政変
第4章 垂簾聴政の光と影
第5章 西太后と二人の皇帝
第6章 最後の十年
著者等紹介
加藤徹[カトウトオル]
1963年(昭和38年)、東京都に生まれる。東京大学文学部中国語中国文学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。90~91年、中国政府奨学金高級進修生として北京大学中文系に留学。広島大学総合科学部専任講師を経て、現在、同助教授。専攻、中国文学。『京劇』で第24回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kurara
34
★3 映画で見たり、今まで思っていた人物像とはかけ離れて感じた。この時代に生きた女性だからこそ「悪しき女帝」のイメージが強すぎる印象を持ちました。【57】2017/08/31
さすらいの雑魚
33
慈嬉ちゃんがんばれ!と蒼穹の昴大好きなボクを萌やす良作。早逝した旦那の家業を息子に上手く引継いだ後はセレブ生活を楽しんでのんびり過ごすの♪そんな私の普通の夢はどこ?な女将の細腕繁盛記的な中華帝国衰亡記ね。曽国藩と西太后の時代を代表する破格な2人の対決が白眉。倒れゆく帝国を支える美貌の女帝の助けを求めるような矢継早な下問に、亡国への深入りを避け言葉少なく答申しあくまで能臣の立場に留まる英雄の才をもつ男の怜悧と冷血。維新幕末期の日本の熱血志士達と中国知識人層のこの肌合いの違いが両国の運命の違いと思ったりした。2021/05/03
Tomoichi
27
映像の記憶は恐ろしい。子供の頃に見た映画「西太后」、西太后によって達磨にされた女性の映像がストーリーは覚えていないのに頭に残っている。本書では資料をもとに清朝とその末期に登場し長きに渡り権力を掌握した西太后の実像に迫りますが、いい意味で期待を裏切る内容です。また著者が指摘するように現代中国の原点としてみる彼女の治世は日本にとってより研究されるべき歴史と感じました。2018/07/10
taku
27
西太后という人物を解き明かし、清朝を顧みる。罪咎の方がクローズアップされがちな西太后だが、史上稀な女性権力者であることは間違いない。そして激動の清末期は、現代へ至るまでの礎となっている部分があり、この国の根底に大きな影響を与えている。この辺りも関心を引く。この時代をおさらいしようと手にしたが、新たに知ることも多かった。p203-204 男性権力者は自分を認める価値ある者を、女性権力者は自分が認める価値ある物を傍らに置くということか。2017/05/07
藤瀬こうたろー
23
「中原の虹」を読んでいて西太后の実際の人となりを知りたくなって図書館にて借りた本。西太后は、他の后の手足を切断したとか残虐性のみを強調して語られることが多いけど、現代でいうパワハラな点や独善的な性格はあったにせよ、長期政権を築いたからにはただそれだけではなかったんでしょうね。頭のいい彼女からすれば、皇帝や部下たちだけでなく、列強の国々も含め、馬鹿ことをやってるとしか思えなかったんじゃないかなあ、と。特に、内外へのパフォーマンスとして豪華な食事や装いを行っていたのではないかという話には説得力がありました。2021/04/18
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