内容説明
『ライ麦畑でつかまえて』のサリンジャーは、現代のアメリカ作家中で最もよく読まれ、また最もよく議論の種となってきた。一九五三年にニューハンプシャー州コーニッシュへ引き籠り、六五年以降いわば隠遁生活を続けている彼の生活は謎の部分が多い。彼は何から逃げようとしたのか?彼が最も嫌ったのは現代社会の矛盾とその社会を象徴する無関心な人間=大衆だったのではないだろうか?作品を発表順に点検しながら、それを探る。
目次
第1章 サリンジャーの伝記から
第2章 詩神「ミューズ」の囁きを聞く前に―サリンジャーと「世間」
第3章 戦場の記憶―サリンジャーと戦争
第4章 『サリンジャー文学』の成立
第5章 出来損ないの反英雄「アンチ・ヒーロー」―サリンジャーと『ライ麦畑でつかまえて』
第6章 サリンジャーと『死』
第7章 純粋にして複雑な愛の物語―フラニーとズーイをめぐって
第8章 サリンジャーとグラス家―サリンジャーはシーモアか?
第9章 サリンジャーのアメリカ、アメリカのサリンジャー
第10章 結論・サリンジャーの知ったこと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tei
2
サリンジャーの隠遁生活がなぜ始まったのか、にスポットを当てた評論(1998年当時)。サリンジャー好きなので古本屋で購入した。サリンジャーの作品を好きだと言う割には、その人生観を甘いとするなど、なかなかに痛烈。2018/11/27
テツ
2
サリンジャーの主な作品とそれに対する批評。内容はまあこんなもんだろうなと。自分の感想と他人の感想が完璧に同じなんてことはありえないのだから、この手の本はそれを理解した上で読むべき。もっとサリンジャー個人について掘り下げてあるのかなと期待したが、若干期待外れだった。まあそれでもサリンジャーの作品を久々に読みたくなる気分にはさせてくれたな。2014/07/14
azimuth
1
終始「おまえとは趣味が合わん!」という感じで。特にレーンのところ。ゾーイーの性格分析的なところは自分について言われてるようでむずがゆかった。読者のあらゆる疑問を解くエッセイかなんか遺っていないのかなあ。2010/06/06
ドウ
0
知ってることが多く、物足りない本だった。2014/11/07
サンドイッチ
0
サリンジャーの著作から、彼の隠遁生活の理由を探る。2013/12/15