中公新書<br> 宇垣一成―政軍関係の確執

中公新書
宇垣一成―政軍関係の確執

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011336
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C1221

内容説明

2.26事件以降、政治の主眼は陸軍を抑えること、あるいは協調におかれた。そして「宇垣なら」という待望論が絶えることはなかった。宇垣一成とは何者であったのか。力量・識見あふれる実力者だったのか。3月事件の影の主役である野心家であったのか。昭和12年、組閣の大命を受けながら陸軍中堅幹部の排斥工作によって遂に大命拝辞に追いこまれた真の理由は何か。新史料を駆使して波瀾の生涯を辿り、昭和史の謎に肉薄する。

目次

序章 清浦・貴族院内閣の成立
第1章 陸相をめぐる陸軍首脳の抗争
第2章 3月事件の謎
第3章 大命拝辞
第4章 外務大臣就任
第5章 和平工作
第6章 吉田茂の宇垣擁立工作
終章 松籟荘

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

100
宇垣一成の伝記です。いわゆる陸軍内にあっても良識人であって、それが中堅幹部に嫌われたのかもしれません。イフの世界になるわけですが、東条ではなく彼が首相になっていれば少しは変わっていたのかもしれません。まあまた2.26のような事件が起きたかもしれませんが。大正昭和の初めの軍縮の動きが中堅幹部の意識が醸成されたのかもしれませんね。戦後の初めに自衛隊が税金泥棒といわれていたような時期もあったようです。まあ優れた見識のある人間は嫌われるのでしょう。渡辺錠太郎然りですね。2015/12/29

masabi

12
【概要】陸軍出身ながら首相待望論が絶えずついぞ実現しなかった宇垣一成が軸となった事件を中心に記述する。【感想】一般的な評伝と違い、すでに実力者となり陸相に推挙された時期から始まる。軍縮を実現し、憲政の常道を尊重し、政治団体と化した陸軍の抑制に奔走する。視点が陸軍に留まらず国家も視野に収める良識派の側面と、自身の力量と見識を誇り座して機会を伺う野心家の側面が顔を覗かせる。首相として全権を振るうことなく表舞台を去ったために、危機を打開し得る人物の筆頭に上る。それだけ能力が卓抜しているともに人材も払底していた。2023/06/20

ジュンジュン

12
常に「待望論」が囁かれながらも、終ぞ誕生しなかった宇垣”流産”内閣。本書は重要な局面をピックアップして、その可能性を検証する。もし、宇垣政権が誕生したなら、軍部の暴走は抑えられ、日中戦争は回避され、日本の破滅は防げたのだろうか?そうは思わない。総帥権の独立と軍務大臣(現役)武官制を持つ軍部が、ひとたび制御不能になったとき、誰がなっても抑えられなかったと思う。彼への期待の正体は、首相を担えなかったその事実が生み出した幻想に過ぎない?そんな気がする。2021/10/10

バルジ

4
簡便な宇垣一成評伝。来歴を羅列するのではなく節々の事象での宇垣の動向から軍事指導者ひいては政治指導者として期待されながらも大志を果たせない「蹉跌の人」としての生涯を描く。本書での宇垣評価は最終章で若槻礼次郎に語らせている次の一節で明らかであろう。「宇垣は一度大命を拝し、軍部の反抗のために、遂に総理大臣にならなかったけれども、なった者より一層彼に尊敬を払うのである」 ”政界の惑星”としての政治的限界を外部要因に求める辺りやや踏み込み不足の感は否めない。だが挫折した政軍指導者の来歴を知るには良い分量であろう。2020/11/23

スズツキ

3
宇垣と言えば失敗に終わった三月事件で首相就任を画策された人物であるが、著者の「はじめに」で何度も宇垣が首相に推された理由は陸軍の押さえつけだったけども、本当にそのようなことが出来たかいきなり疑問符がつけられている。東京裁判のキーナンは日本の真の平和愛好者は若槻礼次郎、岡田啓介、米内光政と宇垣だけだったと語る。この本では大川周明が阿呆なテロリストに見えちゃうな。2014/06/28

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