出版社内容情報
人生には二つのたのしみがある。一つは食べること、もう一つはおいしいものをこしらえること――。
通いつめた神戸の市場、奄美の豪快な豚料理、夏のスダチ酒とぬか漬け、なんといっても大阪のうどん。つくるのも食べるのも大好きな著者の、食にまつわるエッセイを精選。「献立メモと買い物の記録」「おもてなし日記」を初収録。
内容説明
うまいもの食べなきゃ、働く気ィおこらへん。春はさくら餅、夏は焼きナス。秋はうどん、冬はてっちり…。美味しいエッセイアンソロジー。
目次
1(台所と女性;おにぎりと私;蜜柑の思い出;イチジクとうどん;すぎにし方恋しきもの ほか)
2(食べるたのしみ;駅弁;ニューヨークのマグロ;中国式朝食;茫然台湾 ほか)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。63年、『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞、88年、『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、93年、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、94年、菊池寛賞を受賞。98年、『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞と読売文学賞を受賞。2008年、文化勲章受章。大阪弁で軽妙に綴る現代小説の他に、古典文学の紹介、評伝小説など、著書多数。19年6月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
46
食べることに関するエッセイでした。美味しそうな食べ物から、おせいさんは食べることが楽しくて大好きなんだろうなと思います。そんな些細な幸せを分けてもらった気分になりました。2023/02/05
よこたん
42
“私は、チマチマ、コチョコチョいろんな種類がきれいに入ってる幕の内弁当なんか好きだから、駅弁を買ってたべるのをたのしみにしている。” エッセイ。大阪弁の本が好きやと言うてて、いっこも田辺聖子を読んでへんのはアカンわな。もう帰られへん昭和、私らが子どもの頃の大人の世界を覗くような気分。せわしない日々の中でも食べるんを大事にしてはった姿(それとお酒呑むんも)、料理をこしらえるのんも楽しんではった姿。オッチャンや親しい人らとの掛け合いに笑う。「てっちりオバン」「とりこみ主義」「大阪のおかず」が、かなり好み。2023/03/20
くさてる
23
ずっと読んできた田辺聖子のエッセイだけど、新たに編まれた一冊ということで、久しぶりに手に取った。ちょっと驚いたのは、ここで描かれている食事の風景、思い出が、自分が昔、昭和初期の文学者のエッセイを読んだときに感じたような遠い時代のように思えたこと。それはまあ、数十年前のことなんだからそうなのかもだけど、田辺聖子もその枠に入るようになったんだなあと思いました。内容はおせいさんらしい食の楽しみ、蘊蓄というよりはこだわり、好きなものを語るもので、楽しく読みました。2023/02/28
ズー
20
読み始めは、なんか厳しい姑感あってとっつきにくいなー…と思ったが、読めば読むほど面白い!食に限らず、女として人として生きていく助言みたいなものももらえたような。とても食や季節を大切にする方だったんだなぁと。2023/02/20
たっきー
11
食べ物エッセイ。食に関心のある人のエッセイは楽しい。きつねうどん、鱧、鯨のコロ等関西の食だなぁと思うものがたくさん登場。献立メモと買い物記録を見るのも面白い。当時との値段比較や、食べなくなったものを見つけたり(白アスパラガスの缶詰、今は食べることないな)。2023/04/04