人生ミスっても自殺しないで、旅

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  • サイズ B6判/ページ数 440p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784794972453
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0095

内容説明

度重なる沈黙。通じない言語ゲーム。見つからないバスタブ付きの宿。イギリスで敬愛する哲学者の墓参り、ルーマニアで野犬に追われ、クロアチアでカレーを奢られ、ウィーンでベートーヴェンを聴き逃し、ドイツでホームレスを経験後「あっ」という間に自宅に帰ってきたヴィトゲンシュタイン情報蒐集家兼小説家兼法律事務所アルバイターは、なぜ自殺しないで生きのびたのか。ツルツルした理論文学論考から、ザラザラした文学探究の世界へ。

目次

はじめに 自殺より旅がよい
1 自殺するなら旅に出よう イギリス
2 自殺するなら旅に出よ アイルランド
3 自殺するなら旅に出 ルーマニアとブルガリア
3・1 自殺するならブルガリアを出よう ブルガリア
4 自殺するなら旅に 旧ユーゴ前編
5 自殺するなら旅 旧ユーゴ後編
6 自殺するなら ウィーン
7 自殺するな ドイツ
おわりに 旅に出れるし

著者等紹介

諸隈元[モロクマゲン]
1978年、静岡県浜松市生まれ。慶應義塾大学東洋史学科卒。2014年、文學界新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

97
大学卒業後7年間引きこもり小説を書いたが失敗し、自殺するくらいならと旅に出た。敬愛するヴィトゲンシュタインの聖地巡礼をしているうち、世界は思ったより優しくて、12年後の今、2009年の旅を自分が見たまま風景描写のように物語る自分がいる。「自殺にふい打ちをくらうことほど忌々しいことはない」ヴィトゲンシュタインの言葉は、兄が3人とも自殺した経験から来る。「自殺は、それ自体としては、善くも悪くもない」著者。時系列も前後するし、文体もユニークで、引用も多いが「より愉快な方がより良い」という著者の考えに賛同します。2021/09/24

ばんだねいっぺい

38
ヴィトゲンシュタイン大好きっ子の筆者が自殺を考えて旅に出かける間の頭のなかみをお裾分けしてくれる内容。たくまざるユーモアの連続に「たのもしい作家が現れたな」と思った。編集者に「時系列とかちゃんとしてください」と言われたくだりに爆笑。第二弾も読みたい。2021/12/06

田氏

18
稀代のヴィトゲンシュタインマニアにして、元引きこもりにして、プロレス研究会の試合では四十路でなお大技フェニックス・スプラッシュを決める終身名誉顧問にして、作家。情報量が多い。しかしその筆致は簡潔清明に研ぎ澄まされている。ということはない。などといった風に、ベケットしかり書いては打ち消し、「意識の流れ」しかり時系列は前後し、最大の友人たる自分と会話し、隙あらばウィトゲンシュタイン情報を挟む。挟むどころではない。むしろそちらがメインと言ってもいい。よくない。語らずとも(語ってるけど)、本題は終章の一言である。2021/09/30

kuukazoo

15
長い...そりゃ1か月のヨーロッパの旅はいろんなことがあったろうが、時間軸が行きつ戻りつ(過去の出来事を書きつつその後の自分のことや起こらなかったことまで書く)、何を書くにも一度出しては引っ込めまた出し自分にツッコミを入れ、ただでさえ脱線体質なのに旅の道連れの哲学者ヴィトゲンシュタイン情報が頻出し、迷走の末の400ページ超...正直めんどい奴と思うがわざわざ脇道に踏み込みたい気持ちは分かる。他、帰ってこれてよかったね!自殺より旅だね!親孝行してね!ヴィトゲンシュタインって面白い人だね!という読後感だった。2023/04/25

チェアー

10
ヴィトゲンシュタイン好きで7年かけてヴィトゲンシュタインの小説を書いても認められず、何やってんだろう、もう死ぬしかないかと考えて、親のJCBカードを手にあてのない東欧の旅に出る。 文章は読みにくいし、何やってんだろ感満載だし、子どもか!と叫びたくなる場面も多いし。 でも、ちょっと旅の本質に近いところも感じて、そこはうらやましい。 2021/09/09

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