内容説明
江戸参勤は実に行軍である。雪の和田峠越え、御殿様の急な病、行列のなかで進む御家乗っ取りの企み。着到遅れの危機せまるなか、一行は江戸まで歩みきることができるのか。江戸までの中山道で繰り広げられる悲喜こもごも。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
306
下巻は読むのに時間がかかってしまったが、ゆったり道中した感じが出てかえってよかったかも。上巻とくらべてウエットになったのは少々気になるもののエピソードが豊富で面白い。またちゃんと物語が丁寧に閉じて各キャラがそれぞれに落ち着くべき場にはまっていくのも良い。良く出来た大衆文芸。2015/01/20
文庫フリーク@灯れ松明の火
171
蒔坂一行、やはり『男どアホウ参勤交代』なれど、行軍に伴い身分の上下、老若男女を問わず、心意気の大盤振る舞い。乙姫様ならずとも「アッパレェー」と声を張らん。そも『一所懸命』とは賜った領地を命懸けで守り、生活の頼みとしたことに因るものなり。将軍家茂公直々のお声掛かりで加増、旗本から大名への出世を断る蒔坂殿に、浴びせられる幕府高官・上様の「バカ」の合唱、むべなるかな。されど幼き胸に誓った身の栄達よりも、いかに七千五百石に一所懸命たるか。これ分を識り、分を尽くす賢者の言なり。国元で牢に囚われし国分七左衛門の→2013/07/18
みっちゃん
148
葱かよ…旗本蒔坂左京太夫の枕元に立つ、信玄公の手には下仁田葱。御駕篭から現れた御殿様の背にも何束もの葱。何故にお腰にまで差されるのじゃ、葱を。もうダメだ、お腹が捩れる。やはり真の主人公は彼だった。後半は多少、駆け足にも感じられたが、そこはそれ、つむじ風をも引き起こす超俊足の3人の強者の為せる技ではなかろうか。表紙も何度も眺めつつ、満足の一時であった。大義である。←偉そうでゴメンナサイ。どうしても真似してみたかった(笑)2015/11/19
ナイスネイチャ
138
図書館本。映画化されそうな作品で面白かった。「葱かよ」のくだりは今後下仁田、深谷の地名が出る度に思い出してしまいます。とにかくお殿様がかっこいい!!2014/06/29
藤枝梅安
136
下巻は諏訪から吹雪の和田峠越えの強行軍から始まる。前田家のお姫様やら、無宿の浅次郎(浅田さん、美味しいところを持ってく人物に自分の名前使ってるね)やら、寓話めいた人物が登場。しかし浅次郎には一路の行軍を助ける理由があった。バタバタといろいろな問題が収束していく様子がいかにも「江戸末期のご都合主義」なのだが、出世や保身に走る人物たちと、それを好まない謹厳実直な人物たちを漫画的に対比させて、この時代の不安と混乱を透かし彫りのように見せてくれる。一番出世したのは人間ではなく・・・。というオチも秀逸。2013/09/16