内容説明
小野寺一路、十九歳。父の不虜の死を受け、御供頭を継いだ若者は、家伝の「行軍録」を唯一の手がかりに、江戸への参勤行列を差配する。いざ、江戸見参の道中へ―。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
301
お涙頂戴に走るとあまりにも臭すぎだが、こういう楽しませて笑わせようという作品になると浅田次郎の大衆演劇的芸風が見事炸裂。実に面白い。ちょっとした人物から主要キャラまでよく書けていてユーモラス。語り口の巧さもあってどんどん読める。下巻へ。2015/01/05
文庫フリーク@灯れ松明の火
171
遥か昔、水島新司氏に『男どアホウ甲子園』というマンガが有った。浅田次郎氏の『一路』は、まさしく『男どアホウ参勤交代』である。士道不覚悟と罵られる拝領屋敷の失火により急死した父。汚名返上・家名存続の条件は、父に代わり参勤交代の御供頭をつつがなく勤めること。小野寺一路19歳。江戸に育ち、初のお国入り。まして父からは参勤交代の采配など引継ぎ皆無の身。頼りは焼け跡から見つけた『元和辛酉蒔坂左京大夫様行軍録』200年以上前のご先祖が残した「御供頭心得」に従い、形骸化した行列では無く、有事を前提とした軍としての→2013/07/16
みっちゃん
150
ぷぷぷ。可笑しくてつい笑ってしまう。が、彼らは皆、大真面目。実直で善良な人たちよ。で、そのうち泣けてくる。絶体絶命、万事休す、お先真っ暗で始まった、参勤交代を極める物語、底に流れるのは人の情けと覚悟か。これが日ノ本に生まれた私の心の琴線と涙腺をいたく刺激するのだ。さあ、一行は無事に花のお江戸に到着できるのか、一路の命運や如何に。鍵を握るのはやはり一番の曲者、千両役者の御殿様でござろう。2015/10/24
№9
139
いよ!名調子!と掛け声をかけたくなような語り口、昔、テレビ番組「笑点」でよく見た講談師一龍斎貞水の語りに子供心に何かワクワクさせられたあの感動を思い出した。リズムと抑揚、笑いとほのかな涙、情感溢れる描写はこれ、講談噺しだな、と独り言ちる。章の終わりにくれば「一路率いる御殿様一行の行く手に待つものとは……ぺぺんぺんぺん♩」さっと暗転になり沸き上がる拍手喝采、そして静かな幕間の静けさのなか、明転ののち講談師の「御共頭心得……」と話しが再開されていく、そんな浅田次郎の語り口に痺れた(ToT)/~~~。2014/06/14
藤枝梅安
128
小野寺一路十九歳。美濃の交代寄合、蒔坂家の家臣。江戸暮らしが長く、父の急死で国許に戻る。父の仕事である「御供頭」に任ぜられ、12月の中山道を参勤のため江戸に向かう道中を差配する事となった。家に伝わる江戸初期の古文書を頼りに、ひたすら実直に参勤の道中を勤める。後輩であり部下である栗山真吾も父の急死のあと、亡父の職を継いで一路に従っている。佐久間盛政の子孫(ではないかと噂される)など、下級武士の力を借りて進む一路。不始末があれば殿様の隠居、自らは切腹となるやもしれぬ窮地を果たして切り抜ける事ができるのか。2013/09/15
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