内容説明
近代日本史の根底をくつがえす新・維新論!作られた美談「明治維新」を一刀両断!定説をくつがえした作家と気鋭の学者が、「明治クーデター」の真相を語り尽くす。
目次
第1部 歴史の改竄―戊辰戦争まで(列強の戦略と幕府;テロリストが跋扈した幕末;薩長の正体;西郷隆盛と島津斉彬、久光の維新後)
第2部 士道に悖った戊辰戦争(「薩長の私戦」だった鳥羽伏見の戦い;「江戸城無血開城」などなかった;東北・会津・箱館戦争をどうみるか;新政府の国づくりと西郷隆盛)
第3部 「明治維新」というフィクション(歪められた歴史;司馬史観では見誤る歴史の真実)
著者等紹介
原田伊織[ハラダイオリ]
作家。歴史評論家。1946(昭和21)年、京都生まれ。近江・浅井領内佐和山城下で幼少期を過ごし、彦根藩藩校弘道館の流れをくむ高校を経て、大阪外語大学卒
森田健司[モリタケンジ]
大阪学院大学教授。1974(昭和49)年兵庫県神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。専門は社会思想史。特に、江戸時代の庶民思想の研究に注力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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36
歴史への新たな視点を与えてもらいました。勿論ここでの解釈も全てを鵜呑みには出来ない。前に半藤氏が言ってた、明治維新は政治に参画出来なかった外様大名の薩長が起こした暴力革命であって、国家運営するだけの器量はなかったってのが、この本の中でも裏付けられている。又、他の作家では言われることがない司馬史観という言葉は、御大の作品の影響力が大きいことへの証と言えよう。しかし御大が亡くなって二十有余年。その後時代と共に歴史の新しい解釈や考え方も変わっていく。御大が残した作品群はあくまで娯楽作品として楽しめばいいと思う。2018/11/04
謙信公
21
前著『明治維新という過ち』を補完。明治維新の定説を覆した作家と気鋭の学者が真相を徹底対論。司馬小説は非常に魅力的だが、あくまでも小説。そこから歴史を学ぼうという人がたくさん出て、それが今も続いていることが問題。「明治維新至上主義」である官軍史観、薩長史観ともいうべき歴史観は、実相の多くを隠蔽しており、捏造さえ行っている。薩長政権の帝国主義的膨張主義によって民族の歴史上初めて大敗戦を味わい、国家滅亡寸前という事態を経験しながら、戦後再び官軍史観は不死鳥の如く蘇り、却って明治維新というものを美化してしまった。2024/08/21
ネコ虎
19
薩長史観、司馬史観批判の本。対論はふつうダラダラしがちだが、これは緊張感があふれ無駄がなく、歴史を今さらながら面白いものと感じさせる有益な書物だ。定説批判だけに見方が新鮮で、そういうことなのかという発見が多い。薩長の無理やり政権奪取が後々尾を引く。幕臣の評価は肯けるので、慶喜などの裏切りがなければ別な近代日本も出来ていたかもしれない。司馬遼太郎と山崎豊子は似ている。実在の人物や歴史を扱って小説を書きながら、読者による史実との混同を放置していることだ。歴史と小説の混同は厳に戒めねばならない。これは刺激的な本2017/11/16
なつきネコ@たくさんの本に囲まれてご満悦な化け猫
15
相楽総三が一番に維新に貢献した原田氏の史感が示されている。岩倉使節団の内容がなくて物見遊山気分。帰ってきた木戸が長州派子分の尻拭いに走っていたとは。島津久光の過小評価の指摘、私も彼はよく知らない。調べてみないと。司馬さんの過大評価の勝海舟はなんか理解できる。しかし、龍馬は独創はないから低いと言うが、理解して再構成したのはなかなかな英傑だとおもう。山内容堂とダブル指摘はおもしろい。松陰先生は文章に騙されておこうかな。しかし、歳三好きなんだな。良順に自分は死神取りつかれた男だからの一言。もう少し考えないとな。2018/11/21
乱読家 護る会支持!
12
「明治新政府は、維新の負の歴史を隠蔽し、時に捏造を行った、いわゆる薩長史観を作った。そして戦後の明治維新の美化は、司馬遼太郎氏の司馬史観の影響が大きい」と考える。。。 歴史は、常に戦争の勝者が記録することから、明治政府がある程度、歴史を改ざんし、隠蔽した事実はあると思う。 しかし、著者の他の文献も読んだが、為政者に対する恨みのようなものが感じられて、リベラルな方にみられる「うさんくささ」をどうしても感じてしまうのです。。。。2018/01/11
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