内容説明
ルーカスが「サーガ」で描いた銀河系とは?本書の第1部では、「ルーク三部作」と「アナキン三部作」の特徴と連続性について考察。ライトセーバー戦やクローンやドロイドの兵士の意味合いの読みの可能性、そして、スピンオフ作品についても、クローン戦争を扱ったアニメやイウォーク物について触れてある。第2部では、この作品がアメリカ産でしかも七〇年代に着想されたという原点に立ち返り、「共和国」として始まったアメリカにとっての「帝国」の意味、「循環する世界」やエコロジーの発想がどうつながるのか、「西部」というルーカスが育った土地が与えた世界像を探り、「戦争」をし続けてきたアメリカとサーガとの関連をも考察する。戦争の前線に兵士を派遣する戦争国家としてのアメリカの現実が反映された「スター・ウォーズ」像をあぶり出す!
目次
第1部 二つの三部作とスピンオフ作品(ルーク三部作と善の成長;アナキン三部作と悪の起源;戦争の歴史とスピンオフの関係)
第2部 あまりにアメリカ的な物語として(帝国から共和国へ;循環する世界のなかで;西部という「坩堝」;アメリカの戦争神話として)
著者等紹介
小野俊太郎[オノシュンタロウ]
1959年、札幌生まれ。東京都立大学卒業後、成城大学大学院博士課程中途退学。文芸・文化評論家、成蹊大学、青山学院大学などで教鞭もとる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ブラックジャケット
9
スターウォーズは1977年全米公開。翌年には日本で公開され、私もスクリーンで堪能した。子供時代に憧れていたスペース・オペラが実現した喜びに感動した。E・E・スミスやE・ハミルトンのSF小説が、ルーカスのキャラクターによって再現された。そのスターウォーズ・シリーズも今年の暮れに第9作が公開されて40年以上続いたサーガが完結。本書はルーカスが携わった6作に詳細な解説を加え、生み出された背景を考察している。神話世界、シェイクスピア、先行のSF小説、西部劇、戦争映画等々、引用は多岐にわたった。マニアには有難い。 2019/11/14
またの名
7
光速並みまたは光速以上のスピードでワープしても相対性理論の影響は受けないし物理法則はガン無視のおとぎ話世界を、映画論とアメリカ論の面から考察。ショットの細かい類似と差異を物語展開に即して前半で説明し、雑多な坩堝として強力な単一性を持たない合衆国の中で様々な文献や映画作品を渉猟した成果のコラージュから作られた統一的神話が連想させる、アメリカの過去と現在が持つ光と影を後半で読み解く。記述に関してはもうちょっと整理して読みやすくできそうだけど、オタク的熱意で語ると大体こうなるので致命的欠陥と言うほどでもない。2018/12/26
コロン
0
大学のレポートを書くために読んだけどスタウォーズの奥深さがわかってよかった。 これを読んでから再度映画を見るともっと面白いと思う!2016/06/16
LastNakamura
0
アナキンはフリーランスになるべきだった。のかもしれない。2016/02/05
ゆき (Kou)
0
ep7予習。筆者の長年のSW愛が感じられる論集。アメリカ文化・歴史、ルーカスの背景をもとにSWを読み解いていく。最終章では、西部という夢のフロンティア(旧三部作)から、戦争の最前線・フロントへと変貌したアメリカと、新三部作の関係を探る。さらりと言及するに留めているが、スピンオフにも造詣が深い。スターウォーズの奥深さにおどろく。新しいシリーズは、どれほど「アメリカ的な物語」に仕上がったのか、さらに楽しみになった。2015/12/14