出版社内容情報
戦犯とは何か? 誰が誰を裁きうるのか? 〈あの戦争〉をなおも深く考え続ける――。『遠い日の戦争』『プリズンの満月』他を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころりんぱ
51
これでこのシリーズ全部読了。ひとくちに「戦争」と言っても、曖昧なイメージしか持てていなかったけど、綿密な取材による史実と貴重な証言をもとに書かれた小説、エッセイはどれも興味深く、戦争というものを様々な角度から教えてくれました。戦中と戦後、両方を知っている方ならではの掘り起こし方、批判でも賞賛でもなく戦争を語った本でした。終盤に収録されている「「私の中の戦中・戦後」という数ページの文章の中の「戦争だけは避けるべきだ」「戦争に関する限り女々しくあることが私の勇気だ」という吉村さんの言葉が響きました。2016/05/18
Ted
5
'15年11月刊。○大東亜戦争関連の小説に限定した選集、第6巻。戦犯・戦災孤児・特攻など、敗戦から戦後にかけての時期を舞台にした中編2本を主に、掌編・随筆・講演を加えた構成。「遠い日の戦争」「プリズンの満月」ほか、「八人の戦犯」「焔髪」「鯛の島」「最後の特攻機」など。著者が「逃亡」や「漂流」に異常に拘り、終生一貫したテーマにしているのはなぜだろうか。「逃れられない極限状況に追い込まれた時、人はどう行動するか」ということに絶えず視線を向け続けたのは、結核の手術で九死に一生を得た体験と不可分に結びついている。2016/02/03
たつや
4
戦犯について巣鴨プリズンについて、知らないことが多過ぎたので興味深く読めました。本当に戦争は良くない。自分の二人の息子が徴兵されることが有りません様に。2024/01/17
読書国の仮住まい
3
ボリューム 『遠い日の戦争』『プリズンの満月』長編二編に『八人の戦犯(海軍乙事件所収)』『焔髪(脱出所収』『鯛の島(脱出所収)』短編三編、『最後の特攻隊(空白の戦記所収)』『二つの精神的季節(月夜の季節所収)』『人間の不気味さ(白い遠景所収)』『私の中の戦中・戦後(月夜の記憶所収)』『靖国神社(月夜の記憶所収)』エッセイ五編、『講演「プリズンの満月」をめぐって』収録 世界観 戦後を扱った作品集。 補足事項 私たちにとって、幸いだったのは戦争に負けたこと。 『私は今の東京の方が遥かに好きなのです』著者談。2022/09/04
おい
3
ノンフィクションに近い小説。数話掲載されている中でも遠い日の戦争とプリズンの満月は秀逸。分厚さも気にならなかった。 ★★★★2018/03/06