内容説明
「おくのほそ道」「野ざらし紀行」などから、俳論を伝える書簡、日記、遺書まで。希代の詩人・芭蕉の肉声が聞こえる六十九篇。
目次
柴の戸(三十七歳)
月侘斎(三十八歳)
茅舎の感(三十八歳)
寒夜の辞(三十八歳)
高山伝右衛門(麋塒)宛書簡(三十九歳)
夏野の画讃(四十歳)
野ざらし紀行(四十一歳~四十二歳・四十四歳完成)
山岸半残(重左衛門)宛書簡(四十二歳)
自得の箴(四十二歳)
垣穂の梅(四十三歳)〔ほか〕
感想・レビュー
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syota
33
芭蕉の俳諧紀行文集を読む際の参考資料として借りた本だが、せっかくなので本書に収録されているもののうち『嵯峨日記』と『幻住庵の記』を読んでみた。『嵯峨日記』は、”芭蕉唯一の名実兼備の日記”とのこと。京都嵯峨野の落柿舎に3週間滞在した折の日記だが、風光明媚で歴史ある土地だけに、芭蕉がゆったりと風雅なひとときを楽しむ様子が伝わってくる。周辺を散策したり、訪れた弟子たちと連歌を巻いたり月見に興じたり、手持ちの文を推敲したり。飾り気のない率直な文章が、肩の力の抜けた芭蕉のおだやかな心境を表しているように感じた。→2025/04/17