出版社内容情報
暴排で食えない暴力団を辞めた人の再就職率は3%。望んでも即カタギ、といかない現実とは?
内容説明
今やヤクザは食えない稼業だ。最大時約18万4000人を数えた暴力団構成員は、現在約2万8000人。しかし離脱届を出しても法律の縛りは厳しく、就職もままならない。反社排除に過敏な世間に受け入れられない彼らの行き着く先は?それでも辞めた者、辞めきれず元に戻った者、暴力団を嫌い半グレになった者…彼らの肉声に「暴力団博士」が耳を傾けながら、裏社会の危うい橋を渡り続ける男たちの実情に迫る。
目次
第1章 暴力団離脱者の実態(就職率3%;元暴5年条項という社会権の制約 ほか)
第2章 元暴アウトローの誕生(代紋外せば何でもあり;暴排の陰で格段に増加した高齢者の被害 ほか)
第3章 現役幹部と離脱者の胸中(13人の暴力団離脱者、現役組員たちへの聞き取りから;暴力団を辞める理由 ほか)
第4章 暴排条例が生んだ「半グレ」(彼らは何者なのか;種類を整理する ほか)
第5章 離脱支援こそが解決への道(希薄化した人間関係が反社のシノギを生む;反社対策に本腰を入れ出した政府 ほか)
著者等紹介
廣末登[ヒロスエノボル]
1970(昭和45)年福岡市生まれ。北九州市立大学社会システム研究科博士後期課程修了。博士(学術)。龍谷大学嘱託研究員。公益財団法人清心内海塾主席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
46
後半からは半グレの話題になってきて、題名とちょっとズレてきてる。何か今一でした。 ただ1点「貧困」と同様「ヤクザになった」と言うことも、一概に「自己責任だろ。」では済まない、生い立ち、家庭環境、社会の歪等不可抗力な要因も大きいかもしれないと感じた。 2021/06/04
kawa
35
2011年頃から施行された暴力団排除条例は、その効果著しく従来型暴力団の衰退を引き出した。しかし条例は、暴力団離脱者に対し5年間は銀行口座や携帯電話の開設ができない等の締め付けも厳しく離脱者の更生の妨げとなっている部分もある。結果として彼らの中には、組織のたがからはずれた準暴力団的・半グレ集団に属し、そちらの世界の伸長を招く結果になっているという。筆者はその世界から学問の世界に転身した「暴力団博士」(?)のよしで、その提言もなるほどと納得だ。2023/01/20
ノンケ女医長
20
何度も使われる「共助」という言葉。美しい響きだ。実際は、今の社会で「区別」が強まっていて、お互いに批判をする風潮になっていると私は思うので、共に助ける姿勢がどこまで可能なのか、その親切心が弱まって欲しくないなと心配しながら読んだ。ヤクザ、半グレ。出自と向き合えず、憎しみから自分の外を攻撃していく心理、分からなくはないけど。こんな集団があるんだなと、みんなが注視するのは、すごく大きな意味があるように感じた。2023/12/08
bapaksejahtera
15
暴対法と諸条例が成立して30年余。暴力団は排除されつつあるが、属する組員の社会復帰は現実の社会機構がそれを阻む。故に組員は再犯に陥り易く或は老い朽ちる。本書前半はその状況を例示を以て述べ、終段に至りその改善方策と社会の共助の必要性を展開する。中段は厳しい暴対行政の間隙を縫い勃興した半グレ集団が、近年に至り暴力団転出者の参入や暴力団シノギの外注先として登場する等、大きく変貌する姿を摘出する。これが副題の謂である。共助社会は言うは易いが生産流通販売に至る迄激変した経済社会を考えると喫緊ではあるが困難事である。2025/04/17
kanki
15
「暴力団と違い人間関係面倒くさくない。半グレなら、仲間と一緒に遊んで、カネになるから楽」2021/07/14