新潮新書<br> 深層日本論―ヤマト少数民族という視座

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深層日本論―ヤマト少数民族という視座

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  • サイズ 新書判/ページ数 255p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784106108136
  • NDC分類 210.04
  • Cコード C0221

内容説明

日本人は少数民族、すなわちヤマト少数民族である!そう捉えると様々な謎がとけてくる。なぜ粗末な穀物倉庫が伊勢神宮正殿となったのか。秘される大嘗祭で天皇は何をしているのか。今なお、無文字文化の名残を残す中国少数民族に、在りし日の日本の姿をみた碩学が、古事記、万葉集(和歌)、伊勢神宮、大嘗祭をめぐって、本当の“日本古来”とは何なのかを、遥か古代にまで遡って説く日本論の決定版。

目次

第1章 近代国家日本の二重構造
第2章 三つの文明開化があった
第3章 ヤマトから大和へ
第4章 少数民族という視点
第5章 ヤマト少数民族はなぜ国家を形成できたのか
第6章 「古事記」―少数民族文学から日本文学へ
第7章 「万葉集」―生きている歌垣文化からみる
第8章 「伊勢神宮」―なぜ高床の穀物倉庫を神聖化したのか
第9章 「大嘗祭」―なぜ稲と“女”が重視されたのか
第10章 近代化された表層、アニミズム系文化の基層

著者等紹介

工藤隆[クドウタカシ]
1942(昭和17)年栃木県生まれ。大東文化大学名誉教授。東京大学経済学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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はるわか

13
日本は海の防御壁のおかげで、外来のリアリズム型知識とそれとは逆方向の少数民族的文化資質を抱え込んで1400年間国家としての体裁を維持し現在に至る。アニミズム系文化や歌垣文化圏の恋歌文化といった文化資質はムラ社会性・島国文化性とともに日本文化の基層。三つの文明開化[古代の唐・新羅連合軍の侵攻危機、明治の近代化、無条件降伏の敗戦]においてつねに表層(外来の合理主義)と基層(アニミズム系文化とムラ社会性・島国文化性)のお互い矛盾する方向性を抱え込んだ二重構造を有す。そのすべてに存在した天皇制(神話王・呪術王)。2019/06/19

りー

10
無文字文化の名残を残す中国の少数民族との比較等を手がかりに、古代日本の姿を探る本。興味深々で読んだのは、ぺー族の歌垣。メロディーラインはほとんど変わらない。愛する人を“兄・妹”と呼ぶ<歌のワザ>の習得は子どもの頃から行われ恋愛における色々な局面を想像を交えて歌う。万葉を思わせます。また、1950年代以降の発掘で、長江流域以南は漢化されるまでは木造建築だったと判明した点も面白い。天武・持統両帝は、伊勢神宮を当時の最先端仏教建築にしなかった―文化の取捨が意図的に行われていた・・・現代へ続く思考を感じました。2019/08/10

coldsurgeon

6
日本人であることの意識の深層にある、一定の考え方・共通認識を、日本人をヤマト少数民族という範疇でとらえ、考えるもの。ムラ社会性・島国文化性には、人と人との和を大切にする助け合い精神や、寛容の精神という美徳がある。アニミズム系文化には、自然と共生する思想と、自然が与える恩恵に感謝しながら生きる節度ある欲望という利点がある。一方で、不利なことは考えないことにする「空気を読むこと」を美徳とする。日本という国の将来には、目先の利害を優先し、破綻への想像力を放棄する姿勢を改め、現実直視の眼が必要である。2019/07/03

kana0202

1
言いたいことはわかるが、所々、言葉の使い方や論理が甘い気がする。日本について、神道を軸にして語ることの難しさ。神道そのものが曖昧で、一神教がもつ確固たる軸が欠けているからか。 でも都会の街中にも残されている地蔵なんかにジュースやパンが供えられていて、家を建てるときには、地鎮祭をやる国というのは独特であるよなぁと思う。 中国の文化圏(言い換えればそれは、漢字文化圏)の、周辺国、少数民族としての日本という見方は大いに賛成できる。 あとコラムがおもしろい。2020/12/29

イーグルボーイ

0
中国少数民族に、日本文化の源流が残っているとは…あまりに意外で興味深い。辺境ゆえに古代の後進性を残したまま近代国家になった日本。誇りは持っても唯一の歴史文化と勘違いしてはいけない。

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