内容説明
カネもモノもヒトもない。一日四時間しか放送できない時もあった。視聴率の低さゆえについたあだ名は「番外地」―そんなどん底から、東京12チャンネル(現テレビ東京)が脱出した背景には、逆境を逆手にとった逞しいパイオニア精神があった。数々の名企画に関与、数々の猛抗議に対処、あるときは松本清張作品のネタ元に、あるときは深夜通販ブームの仕掛け人になった、元名物編成局長が綴る貴重な秘話の数々。
目次
1 “番外地”育ち
2 番外地のパイオニア精神
3 女子プロレスとワールドカップ
4 経済ニュースがお宝になり
5 今村監督とタブー
6 金曜スペシャルと深夜の抗議
7 清張さんの黒い視聴率
8 中東大使からの圧力
9 殴られた音楽賞
10 真夜中のセールスマン
11 テレビ今は昔
著者等紹介
石光勝[イシミツマサル]
1934(昭和9)年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。メディア・コンサルタント。文化放送を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京)に入社。常務取締役から、設立に携わった系列の通販会社プロントの社長となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
7
キー局なのに、ローカル局みたいな不思議なTV局「テレビ東京」にその開局当時から長年在籍した筆者による、テレ東インサイダー本。開局直後に経営危機になり、その後も予算の無さからコンテンツ不足に悩まされ、他のキー局からは「番外地」と呼ばれながらも、しぶとく生き残った足跡を徒然なるままに綴っていく。「金が無いなら、頭を使え」とばかりに、他局が手を出さない、経済番組、長時間時代劇、通販番組などに挑戦していくイノベーション精神には、もっと学ぶべきかもしれない。アラブの大使からのクレームなど、余話にも面白いものあり。2013/02/03
スプリント
5
キー局の中では一番工夫して番組を作っているな、と感じるテレビ東京の裏話が満載です。他局が過去の栄光にすがり焼き直しの粗雑な番組を連発しているなか、硬軟両方で斬新な番組を生み出す下地となったものが何なのか、本書を読めばその一端がわかると思います。2014/11/18
坊っちゃん
2
★★★ テレビ東京系(?)の本は何冊か読んだ記憶がありますが、この本が一番オーソドックスにテレ東の歴史が分かる一冊かも知れません。「金が無いからアイディアで勝負!」みたいな。(コメント:2019/04/04)2019/04/03
西澤 隆
1
全国ネットではないはずなのに、なんでも探偵団やガイアの夜明けのファンは全国にいる。そんな不思議な局の創世記からの物語を語る本書は、序盤でいきなり再放送と放送休止が並ぶ番組表を載せています。ここまでスカスカの番組表は、BS序盤でもなかった!。でも「題名のない音楽会」や、日本はじめてのサッカーW杯中継のように、今に続くパイオニアになったものも少なからずある。「ありますまいか」といった、ちょっと懐かしい語り口調の文章にもどこか古き良き昭和の匂いがする「当事者の回顧録」なのです。それにしても視聴率って怖いんだな。2012/10/29
ケー
1
著者が過ごした激動のテレビを語る形式。今でも独特の番組で視聴率以上に存在感のあるテレビ東京の歴史がわかる。「視聴率」という言葉が頻出し、いかに大事なのかも理解できる。2012/09/06