内容説明
『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などの翻訳者として名高い著者による村上春樹論!英語オリジナル版に「アフターダーク」「東京寄譚集」論を新たに加えた決定版。
目次
序曲
「僕」の誕生
うろ覚えの曲
耳をきれいに
エチュード
僕自身の歌
ワーグナー序曲集と現代のキッチン
ポップ・メロディー
違う曲で踊る
再び路上にて
「泥棒かささぎ」序曲
地球の律動
音楽は鳴りつづける
著者等紹介
ルービン,ジェイ[ルービン,ジェイ][Rubin,Jay]
1941年ワシントンD.C.生れ。ワシントン大学日本文学教授。ハーバード大学日本文学教授を経て、現在退職中
畔柳和代[クロヤナギカズヨ]
1967年生れ、東京医科歯科大学教養部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シッダ@涅槃
12
村上作品を読むと僕には特に「30歳問題」(加齢=老いの問題、イノセンスの喪失)が全面に出ているように思うのだが、この評論によってもはや村上春樹はもっと大きなテーマに踏み出しているのだ、ということを再認識させられた。著者はもう完全にハルキに惚れ込んでいるので、もっとハルキ的ワンダーランドを賞賛しているのかと思ったら、「惜しい」と思っている作品もあることも興味深かった。その他翻訳のジレンマ的な問題や『村上春樹堂』といったライトなエッセイへの言及も面白い。この本の影響でアフターダークとカフカ借りてきた。2015/01/07
村上春巻
11
【B】著者もムラカミも国家という頸木からは逃れられないことが透けて見えてしまった。翻訳という作業がどれほど優れたものであっても、どうしてもそのスピリッツを希釈してしまうということも。もちろん逆もまた真なりで、私が日本国以外のことどもについて誤解(過大評価・見下し・深読みetc.)していることが同じようにたくさんあるのだろう。シンボルを探したり解釈を求めるのではなく、ムラカミが書いたものをそのまま受け取ることこそが、かつて彼が実感しえた10万人の読者と作家との、幸せで心地よい関係のように思うのだが。2020/02/24
たか
8
村上作品の英訳者が書いた本なだけあって信頼性がある。ハルキスト必読の本。日本語ネイティブだとスルーしてしまうような箇所を分析していたり興味深かった。かなりの数の村上作品に言及されてるので、それぞれの作品を読んだ直後に該当箇所を読み返すとまた面白そう。図書館本だけどずっと手元に置いておきたい。2021/05/29
sakase
3
村上春樹の名翻訳者ジェイ ルービンによる 村上の生い立ち、作品論、アメリカ文学とのかかわりについて書いている。村上のプライベートについてよくここまで知っている。文学への理解も深い。☆5つ。2014/07/23
MsFuji
2
テーマがはっきりしている分、他の解説本よりもわかりやすいし、共感できる部分が多かった。外国の方が書いているものなのに、しっくりきたのはどういうことだろう?解説本が多く、その意見が必ずしも、同じ方向ではないというのも、作者村上春樹の大きな魅力だろう。2011/01/27
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