内容説明
この世の身近な出来事を深くやさしく考えた、大人のための哲学エッセイ。
目次
第1章 平和な時でも人は死ぬ(なぜ人は死を恐れるか―戦争;死にたいのか、死にたくないのか―人間の盾 ほか)
第2章 いったい人は、何のために何をしているのか(先のことはわからない。だからどうした?―生命保険;~かもしれない。で、どうした?―再び生命保険 ほか)
第3章 考えることに終わりはない(バカの壁を突破する―脳;夢の安楽死病院―老い ほか)
第4章 なぜ人を殺してはいけないのか(死は現実にはあり得ない―自殺;死ねば楽になれるのか―再び自殺 ほか)
第5章 信じなくても救われる(わからないということが、わかっていない―あの世とこの世;死んだらどうなる―墓 ほか)
著者等紹介
池田晶子[イケダアキコ]
1960年東京生まれ。文筆家。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語を使わず、哲学するとはどういうことかを日常の言葉で語ることに定評がある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
101
著者の”生死感”や”責任”についてのスタンスには呻らされました。特に著者の生死感については大いに考えさせられました(今も考え続けています)。因みに、「14歳の哲学」は未読です。人間40歳くらいから体の変調が顕著になり、嫌でも健康や生死を意識せずにはいられません。本書は生死について焦点を当てられているので、そういう意味で本書のタイトルになったのかと思っておりましたが、皆様の感想を拝見させていただく限りどうもそうではなさそうですね・・・。2016/06/12
Gotoran
51
「週刊新潮」(2003.5~2004.6)で“死に方上手”というタイロルでの連載記事を単行本化したもの。中心テーマは「死」について。戦争、自殺、ネット心中等々、時事問題。身近な話題をもとにして、「なぜ人は死をおそれるのか」「死は現実にはあり得ない」「バカの壁を突破する」「悲しみを恐れて愛することを控えるか」・・著者独特の感性からの評論・論考が繰り広げらている。ここでも考えることの大切さを読み手に教えてくれている。2018/07/15
里愛乍
50
池田さんの言葉は一貫している。テーマや話題はその都度であっても、結果的には本書の目次に書いてある通りだ。でも新刊が出る度に購入して読んでいた。背中合わせの死と生、生の間の自分について、それを創造したのは何ぞと視野は宇宙にまで及び、熱っぽく語るかと思えば突き放す。今思えば私は安心したかったのだと思う。何年経っても何冊読んでも彼女の変わらない態度と生き方と言葉に。2017/03/20
こばまり
43
週刊誌向けに書かれたエッセイを纏めたものなのでサラリとしながらも、一気に急所に斬り込んでくる鋭さがあり、読んでいて楽しかったです。お正月ですし、下記を引用したいです。『馬鹿にならずに、賢くなりたいと思う。だから私は本を読む。人間が賢くなるためには、本、すなわち言葉を読むのが一番だからである』2015/01/01
抹茶モナカ
32
タイトルから中年期の心構えみたいな本だろうと思っていたのだけど、当たり前と思い勝ちなあれこれを疑う哲学エッセイ。週刊誌での連載だったようで、西洋哲学はソクラテスの名前が数回出た程度で、池田さんの独自の思索が展開されるもの。哲学の本というより、刺激的なエッセイ集という感じ。衒学的じゃないのが良い。2018/02/04