内容説明
娘の身にあまる贈物をのこして、母は突然逝った。大いなる個性、過激な母に対峙する娘として過ごした20年、その殆んどを母に抗い続けることで自己を確立しようとした日日は音とたてて崩れ落ちた。それから4年半、己が身にかえてのこした母の贈り物の意味を考える娘にやっと一筋の光が射してきた…。鮮烈な母と娘の物語。
目次
りんごの子
おかあさんは小説家
教育ママ奮闘記
あてどもない反抗の頃
冬の軽井沢
ハイスクール・デイズ
自意識過剰娘の拍子ぬけ
凝ったもの、あれこれ
親は親、子は子
受験生の哀しき母親
新入生の愛すべき母親
期待はずれ
コンプレックス
我、生きん
初盆
母子、イギリスへ
ケンブリッジ三十日
二十歳の喪主
祖母のこと
曙光
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙新潮部
58
玉青さんは大学生の時に母・有吉佐和子さんを急病で亡くし「二十歳の喪主」となります。その時、英国に留学中で急いで帰国すると嵐のような日々が待っていました。それを想定しての伯父からの道案内となる優しい手紙には感心しました。母娘の仲は有名人の娘というレッテルを貼られることで歪な所もありましたが相通ずる部分も持っていたようでした。2025/06/18
Lisa Tada
3
プロローグから、「巧い!」と感じた。文章がうまい。言葉がきれいだ。つい、「さすが、有吉佐和子の娘だ」と思ったが、「作家の娘である自分」という存在に、自我が傷つけられて育った作者・玉青氏の、長い長い述懐を読むことになり、有吉佐和子好きの読者は、少しくうろたえることにもなるかもしれない。これは、作家ではあるが、どこまでも、「母親」であるオトナと、「その娘」でもある「子ども」のセルフ成長記録の総括でもある。そして若くして突如母を失い、続いて祖母を送り出し、別れを機に人生の機微を深く心に刻んで大人になる女性の物語2023/06/03
baku
2
53歳で早逝した有吉佐和子。1人娘の玉青による作家であり母である有吉佐和子との日々を綴る。有吉佐和子といえばタモリの冠番組に出演し、大幅に時間オーバーしても頓着なく、司会のタモリが困っていた印象が強く残っていたが、これを読むと子供がそのまま大人になり、感受性豊かであたまが良く、可愛らしさも兼ね備えた人だったんだなぁ、と感じた。2024/11/05
おばこ
2
20代前半でこれを出版するとは、才能のある人だと思う。佐和子さん早逝されたことは、知らなかった。残念なことだ。2019/12/08
baku
1
また、著者も大作家を母に持ち、それに悩んだ時期もあったが自ら乗り越える。太く短い人生だったが、佐和子さん、あなたの娘さんは立派に育っていますよ。良い育て方をなさいましたね、お疲れ様、と言いたい。また、祖母の力も大きかっただろう。2024/11/05
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- 和書
- 雪原の月影 満月