出版社内容情報
外交,殺人,甘い罠.謎多き生命の〈黒幕〉,糖鎖の世界をいきいきと伝える,はじめての入門書.
内容説明
糖といえばエネルギー源。しかし、その連なりである糖鎖は、情報伝達に大活躍する。糖はかしこく、おしゃべりなのだ!細胞表面にびっしりとひしめいて、ごろごろ転がる白血球を止め、病原体の感染をふせぎ、ときには殺人に巻き込まれ…。謎多き生命の“黒幕”、糖鎖の世界をいきいきと伝える、はじめての入門書。
目次
1 おしゃべりな糖が命を支える
2 糖鎖はどこで何をする?
3 糖コードを読みとる―浮気なレクチンの秘密
4 ミルクのオリゴ糖がきた道
5 糖鎖をつくる、糖鎖をこわす
6 糖コードと健康
著者等紹介
笠井献一[カサイケンイチ]
1939年生まれ。1962年東京大学理学部生物化学科卒業(第1期生)。フランス政府給費留学生(パリの生物物理化学研究所で研究生活)、北海道大学薬学部助手・助教授を経て、1979年より帝京大学薬学部教授、2010年同大学名誉教授。理学博士。専門はタンパク質化学、糖鎖生物学、アフィニティー技術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春風
22
「糖」といえば、ブドウ糖の名で知られるグルコースをはじめとして、ガラクトースやフルクトースなどがある。これは一般にイメージされるように〈甘い〉。対して本書で取り扱われるものは、これらの甘い糖が連なった「糖鎖」であり、〈おしゃべり〉といわれる。おしゃべりとは、情報を司るという意味である。この言い換えのような平易な言葉で、糖鎖の基本に触れていくのが本書である。糖鎖学の一般書で、かつ入門書という位置付けで出版されたのは本書が初であろう。血液型糖コードやレクチンの概説を経て、糖鎖と健康の関係を論じる。2020/05/20
zoe
20
2019年。一般向けということで、ミルク、白血球、インフルエンザなど身近な例を挙げて、糖や糖鎖の仕組みを解説。糖鎖は細胞内の小胞体、ゴルジ体で作られ、ユビキチンでラベル化されるとプロテオソームで分解される。2020/09/07
テイネハイランド
12
図書館本。この前読んだ本「物理学者のすごい思考法」の印象的な言葉に「高校の生物は実は化学だ」というのがあり、生物のメカニズムを理論的に記述するのに化学式は欠かせません。化学式が出てくる本は私のような素人には敷居が高いことも多いのですが、この本は説明が丁寧で割合読みやすかったです。この本は『糖鎖および糖鎖につながる(たんぱく質)レクチンのはたらき』についてそのインパクトが手軽に実感できるので読んで良かったです。生物という精密機械のメカニズムを知るうえで、今後の研究の進捗がとても待ち望まれる分野でありますね。2021/12/18
おの
10
図書館本。なんて面白い本なのだ!!生体内の情報を扱うものとして、核酸、タンパク質、糖鎖があるが、核酸とタンパク質のコードは一次元だが、糖鎖は二次元とか例えがうまい。難易度もボリュームも丁度いい。糖鎖の作られ方や、糖鎖による免疫構造などとてもよく分かった!おすすめ本も読んでみよう!2020/12/28
mft
9
糖鎖についての本。知らないことだらけで一読では全然消化できない。「おしゃべりな」とあるとそれ自身がコミュニケーションの主体みたいに聞こえるが、雑な結びつきを媒介したりタンパク質製造時の伝票的に使われたりするもののようだ2021/06/28