出版社内容情報
本物の「伏線回収」と「どんでん返し」をお見せしましょう! 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。事件報道後、警察署に小学生が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
【目次】
内容説明
山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対策が不十分だという投書がなされた直後の出来事だった。事件報道後、生活安全課に一人の小学生が訪ねて来て、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に行方不明になり、失踪宣告を受けていた。彼は、身元不明の死体が発見されると、同じ確認をしに警察を訪れているという。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
97
山奥で見つかった死体は顔を潰され、歯を抜かれ、手首を切り落とされた身元不明だった。複数の事件とそれぞれの警察署が絡む王道の警察小説。地味ながらしっかりした伏線が回収され読み応えある。帯や出版社が煽りすぎるために逆に派手な展開を期待してしまうのではないかな。海外警察作品のような展開。最近の国内ミステリのパフォーマンスに疲れていたので新鮮に感じた。2025/08/31
さっちゃん
48
山中で顔を潰された死体が発見される。事件報道後、生活安全課に一人の小学生男子が訪れ、死体は自分のお父さんかもしれないと言うが…。/近隣で起こるいくつかの事件や過去の事件、刑事課と生活安全課が関わる全くフィールド違いの案件、それらの点と点が繋がった先に見えてくる真相に息を呑む。正義とは何か、優しさとは何か。主人公の日野、部下の入江、同僚の羽幌などキャラも魅力的。チャラい弁護士も良いアクセントに。日野がバーで呑むシーンはハードボイルドな雰囲気で特に印象的だった。派手さはないが、味わい深く密度の濃い一冊。2025/09/07
さぜん
27
ミステリ作家達が激賞しており期待値を上げて読む。顔を潰され、歯を抜かれ、手首を切り落とされた身元不明の死体が発見された。事件を追う日野は新たな殺人事件と、失踪した父の遺体を探す少年との出会いの中、無関係な出来事が少しずつ絡み合っていることに気づく。伏線の張り方とその回収、ラストのどんでん返しはミステリ小説の質を決める重要な要素。猟奇さはなく、日常生活を送る人々のダークサイドに堕ちるギリギリさが重なり、悪意というより誰かを守りたいがゆえの殺人。予想を裏切る展開と人間の制御できない感情の切なさに面白く読了。2025/09/13
よっち
25
山奥で顔を潰され歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた発見された死体。捜査にあたる媛上署の刑事・日野雪彦が、思わぬ事態に直面していく警察小説。不審者の警察の対応が不十分という投書、生活安全課にやってきた自分の父かもしれないという少年、そして間をおかず起きた新たな殺人事件。意外な繋がりから最初の死体の身元や背景も明らかになっていく中で、張り巡らされた伏線を回収していきながら、思いもかけない真相を見出していく展開はなかなか良かったですし、雪彦の人間味のある判断やタイトルに込められた意味が印象的な物語でしたね。2025/09/03
geshi
25
これは帯が仰々しく持ち上げすぎたなぁ。派手さがもてはやされる現代ミステリシーンにおいて地味ではあるが、しっかりと作られた物語構成と一読ではそれと気づけないまさしく伏線の回収が見事な滋味深い作品。別の事件との繋がりが明らかになったり、適度なタイミングで小謎が解かれることで事件が別なステージへと移行するストーリーはダイナミックでいて情報の読みやすさが巧く書かれている。日野の人間臭さに同調して、事件の捜査のなかで関係者たちが抱える苦しみや痛みに向き合う体験を一緒にしていくような読書だった。2025/08/22