出版社内容情報
本物の「伏線回収」と「どんでん返し」をお見せしましょう! 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。事件報道後、警察署に小学生が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
【目次】
内容説明
山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対策が不十分だという投書がなされた直後の出来事だった。事件報道後、生活安全課に一人の小学生が訪ねて来て、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に行方不明になり、失踪宣告を受けていた。彼は、身元不明の死体が発見されると、同じ確認をしに警察を訪れているという。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
179
虫オタク探偵が主役の短編コージーミステリを書いてきた作家が、突然に長編警察小説へ挑んだ。しかも残酷な殺され方をした死体を巡り、次々に重なる謎を地味な刑事が追跡する本格物なのだから。大丈夫かと思いながら読んだが、今年のミステリランキングで上位を狙える出来栄えだった。社会の矛盾や人の業で追い詰められて起きた犯罪を丁寧に解きほぐしていく展開が鮮やかだが、張り巡らされた伏線が回収されて予想外の真相が明らかになる結末はカタルシスに満ちている。しかも主人公の個人的事情が解決に結びつく、無駄のない仕上がりが見事だった。2025/09/25
いつでも母さん
131
作者初読み。地道な捜査がなかなか面白かった(上から目線は許してね)日野と部下の入江がだんだんとバディになっていくのが良かった。また、日野と羽幌の関係も人間臭さが感じられて私は好きだった。それにしても顔が潰され歯を抜かれ、手首を切り落とす・・あぁ、想像しただけで痛すぎる(汗)2025/09/27
おしゃべりメガネ
109
きましたね~、久しぶりの本格派が。作者さんは既に他の短編集で『日本推理作家協会賞』と『本格ミステリ大賞』をW受賞しているだけにミステリーには十分な実績がありましたが、本作は作者さん初の長編となります。ある日、顔が酷く損傷した死体が発見され、捜査にあたることになった「日野」係長と部下の女性刑事「入江」の二人。そんな二人の事件解決までの一週間を緊張感のある描写で惹き付けます。「日野」さんがちょっと地味かなと思ってましたが、その堅実な感じが妙にリアルで印象的でした。今後、ぜひシリーズ化してほしい作品ですね。2025/09/23
ナミのママ
105
山奥で見つかった死体は顔を潰され、歯を抜かれ、手首を切り落とされた身元不明だった。複数の事件とそれぞれの警察署が絡む王道の警察小説。地味ながらしっかりした伏線が回収され読み応えある。帯や出版社が煽りすぎるために逆に派手な展開を期待してしまうのではないかな。海外警察作品のような展開。最近の国内ミステリのパフォーマンスに疲れていたので新鮮に感じた。2025/08/31
yukaring
63
過去と現在、いくつもの事件が絡み合い交錯していく圧巻の展開。そして様々な伏線がさりげない宝石のように散りばめられる巧みな構図。完璧で美しすきる伏線回収に嘆息する珠玉の警察小説。顔を潰され両手を切り落とされ、歯も抜かれた死体。彼はなぜここまで身元を隠されるのか?また子供に声をかける不審者、父親を探し続ける少年、アパートで見つかった男性の死体。一見何の関係もなさそうな事件たちを刑事の日野が地道な捜査で解き明かしていく。刑事たちの葛藤や内なる願い、等身大の彼らが迎える結末は苦いがそこに光があることを信じたい。2025/10/02