商う狼―江戸商人杉本茂十郎

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  • サイズ B6変判/ページ数 297p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103520221
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「いざとなれば、金は刀より強いんです」。金の亡者と呼ばれながらも江戸の商業を再建した、実在の実業家に迫る傑作歴史小説。

内容説明

甲斐の農家から江戸の飛脚問屋の養子となった茂十郎は、十組問屋との紛争解決で名を揚げた矢先に永代橋の崩落事故で妻と跡取り息子を失う。その悲しみを糧に、三橋会所頭取となり橋の運営に要する莫大な費用を集め、衰退した菱垣廻船を立て直して流通を一新。疲弊した慣例を次々と打ち破り、江戸の繁栄に生涯を捧げた改革者に迫る傑作歴史小説。

著者等紹介

永井紗耶子[ナガイサヤコ]
1977年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、「絡繰り心中」で第11回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ぶち

83
江戸の流通改革を成し遂げた商人の物語。名は杉本茂十郎。世間からは"毛充狼"と畏怖された実存の人物のお話です。権力者である幕閣の面々が私欲に溺れ、商人たちもその権力におもねるばかり。これが社会の衰退に直結していくことは、現代の日本を見ていても明らかです商人の誇りを持って理想に向かって疾走していく茂十郎の姿が痛快です。しかしながら、そんな疾走も絶対的な権力の壁にあたって、破滅していってしまいます。理想を追っていく姿と権力者によって破滅した姿の両方を見せつけられて、なんとも哀しい気持ちにさせられた読書でした。2023/05/22

fukumasagami

48
「『ー武士ならば刀を振りかざせば人は間違いなく逃げますが、小判を振りかざせば、人は迷いなく寄って来る。どちらがより強く、恐ろしいか……』  茂十郎はそこまで言ってから弥三郎をひたと見据えて、謡うようにさらに言葉を継いだ。 『いざとなればね、金は刀よりも強いんですよ』」 徳川家斉治世の江戸の町で、永大橋崩落で妻子を眼前で亡くした男は、官僚に取り入り、物と金の流れを変えようと奔走した。 2021/05/20

ぼっちゃん

40
【第40回新田次郎文学賞受賞作 第10回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞作】橋の崩落事故で妻と息子を亡くした主人公が、橋の運営に必要な莫大な費用を集め橋を改修し、衰退した菱垣回線を立て直した実在の人物杉本茂十郎の物語。金は刀より強い、更に葵は金より強く、最後は幕府方から煙たがられ罪を擦り付けられるが、江戸の繁栄に生涯を捧げた茂十郎がかっこ良かったです。本屋が選ぶ時代小説だけあり、お薦めです。2020/11/03

信兵衛

36
目的のために些かの揺るぎもせず、自分がどういう悪評をかき立てられようが、恐れもなく進む姿には、圧倒されるばかり。2020/07/23

ふう

28
弥三郎の眼を通して描かれた茂十郎の、強さも弱さも丸ごと魅力的だった。橋の崩落で妻も子も失った悲しみをエネルギーに換えて、正しさというより活きた金の使い道を探った、と言えるかな。弥三郎の妻、お百合が矢鱈カッコいい。2024/05/05

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