内容説明
このままでは、殺される―ある朝、シーツについた小さな血の染みをみつけて、ローズはそう口にしていた。優秀な刑事の夫ノーマンも、家ではサディストの暴君。結婚後の14年間暴行を受け続けたローズは心身ともにもう限界だった。逃げだそう。あの人の手の届かないところへ―。だが、家出をした妻をノーマンが許すはずがない。残忍な狂気と妄執をバネに夫の執拗な追跡が始まった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
312
タイトルはヒロインの名前のローズであるとともに、ローズ・マダー(茜色)は彼女が逃げた先の街で指輪との交換によって手に入れた絵のシンボル・カラーである。終始緊張感を失わないプロット進行は、ここでも健在でありスティーヴン・キングの本領発揮といったところ。また、警官の夫ノーマンのレイシストぶり、ミソジニストぶりはあまりにも板についており、ここでも人物造型の上手さが物語そのものの構造を支えている。ただ、リアリズム小説のつもりで読んでいたが、終盤で幻想が混入してきて、いささか戸惑うことに。2024/05/04
Tetchy
127
長年夫に虐待を受けていた女性がある日突如思い立ち、夫のキャッシュカードを手に逃亡する。勿論、夫は妻の行方を追ってくる。今まで数多書かれた不幸な女性が困難に立ち向かう話だが、キングが秀逸なのは虐待夫を刑事にしたことだ。つまり本来ならば自身が受けたDVを通報する相手である警察が敵の仲間なのだ。しかしこの夫ノーマンがまたひどい人物で過剰なまでの女性蔑視者であり、最悪なのは彼が噛みつくことだ。また少しでも気に食わなければ完膚なきまでに叩きのめしたり、銃で撃ち殺したいといった破壊衝動に駆られる。まさにパラノイアだ。2022/02/07
カムイ
49
【読むのに骨の折れる😵スティーブン・キング10作目】ジャッジャーン🎉10作目にコレを選ぶカムイは狂気の沙汰、キングの作品では出来があまりよろしくないのです。ホラー色よりサスペンスに仕上げているのは良いとしても夫のノーマンに不満がアリアリなのです狂気の現し方がジョークにしか思えないくらい面白くない🤣(ジョークですよ)上巻は逃げ出したロージは終始夫の恐怖に怯えながら二股をかけるのだが(コレもジョークですよ)😅下巻では謎の絵がどの様な関わり方をするのか楽しみではありますが、ビルとのロマンスも気になります2021/10/16
ぎん
23
キング作品のなかで一番苦手nanoが本作。前回読んだときは二度と読まないだろうと思ったけど、月イチで発表順に読むことに決めたんだからと何とか読んでる。手持ちはハードカバーだったので、文庫版で買い直した。絶版のようで古本になったけど。2017/11/13
チョッピー
21
本当に久しぶりのキングです。まだまだ読んでいない本が沢山あるキングですが、いつか全作品を読み終える日がくるのでしょうか?と思いつつ、DVというには余りにも常軌を逸した「夫」ノーマンとそこから逃れるローズという主人公が交互に描かれる展開となるサスペンス満載の物語が語られる中、ある奇妙な現象がローズに起こる処までが上巻となっています。白石朗さんの安心して読める訳文の力もあると思いますが、相変わらずのキングの圧倒的な文章を堪能しつつ下巻へ続きます。それにしてもノーマンが怖すぎる!2016/05/11