出版社内容情報
アメリカ最強の銀行家にしてニューヨークの支配者。いかにしてアメリカを、そして世界を動かしてきたのかが今、明らかに。
国際金融家として米中の国交樹立に大きな影響を与え、三極委員会を創設し、日米欧関係に大きく寄与したD・ロックフェラー。一方で芸術やその助成にも精魂を傾け、一家の拠点である都市ニューヨークへの投資や慈善活動を惜しまなかった。そして一人の父として、時に反発する子どもとの関係に苦悩しつつ、一族を継ぐ者たちに限りない愛情を注いだ。激動の生涯がいま明らかにされる。
内容説明
国際金融家として米中の国交樹立に多大な影響を与え、三極委員会を創設し、日米欧関係に大きく寄与したD・ロックフェラー。一方で芸術やその助成にも精魂を傾け、一家の拠点である都市ニューヨークへの投資や慈善活動を惜しまなかった。そして一人の父として、時に反発する子どもとの関係に苦悩しつつ、一族を継ぐ者たちに限りない愛情を注いだ。激動の生涯がいま明らかにされる。
目次
中東の“バランス”を保つ使者
生き残るOPEC
仕事上の動乱
家庭内の悩み
兄弟間の対立
シャー
目標の履行
ニューヨーク、ニューヨーク
誇り高き国際主義者
国境の南
近代美術への情熱
帰ってきたロックフェラー・センター
パートナーシップ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
54
冷戦を含めた20世紀を描写したかの半生。確かに、これだけ世界の政財界をまたにかけて躍動した氏であるが故の”陰謀説”なのかもしれない!?という変な納得感。特に印象的なのが、フルシチョフ氏との交錯!?言葉以上の神経戦。一方、地下鉄通勤や教育者として自己評価などの件が、どうにも素直に聞き流せない。先入観かとも思うが、サラブレッドとしては致し方のない違和感かと推察。無論、その指導力・影響力は確かに一国のリーダー並み。ビジネスにおける切磋琢磨する場面は、正に『事実は小説よりも奇なり』!2016/09/11
yuzyuz_k
9
いろんな葛藤、悩みながら歩み進めてきた、誠実な思いが詰まってます。10年掛けて執筆しだけあると思います。 読んで損はないです。 読んだ後、文庫下巻の表紙見ると愛おしくもあります。 あと、日本で言うと、ロックフェラー家は、三井家みたいだなぁと思いました。これを読んで、三井家の家訓見ると似てる感じもします。 美術品も旧財閥系で比較すると格が違いますし。美術品に対する見方も似てるのかもしれません。(宮家、公家は別格です。) 色々想像膨らみます。2016/09/27
まめタンク
5
2020年22冊目。ロックフェラー家は影で世界を支配している。ロックフェラーと聞くと大抵の人は石油で巨万の富を得た一族が、裏で世界を支配する陰謀論的な話を思い浮かべるだろう。でも、本書を読むとイメージは大きく変わる。ロックフェラー家だからこその葛藤、そして苦悩を抱きながら生きる。興味深いのが、ロックフェラー家としての富ではなく、ジョンロックフェラーの息子、2代目ジョンロックフェラーが建設したロックフェラーセンターこそが一族の象徴であり、絆でもあった。悪の帝王の人生は意外と良い人生だったのかもしれない。2020/01/19
グーテンベルク
5
中東やラテンアメリカの首脳陣と親睦を深め、チェース銀行だけではなく資本主義とグローバリズムの発展に尽力したロックフェラー。資本主義者こそが人類を幸福にするという確固たる信念を持ちながら、敵対国との対話を重視したのは流石の貫禄。しかし、国内外の権力者達と強力なコネクションを作りながらも、兄弟間での争いについて苦心するところがとても人間らしくて、興味深い。陰謀論者からは、世界を動かす闇の権力者という扱いを受けるロックフェラーだが、彼なりの信念を持ち、人類の幸福のために生涯捧げた人物であることは間違いない。2016/11/25
メカメカ
1
上巻に対して、下巻は著者の民間外交の姿がかなり詳細に描かれている。 歴史の教科書で出てきていたような話が当事者の一人から直接語られるのはドキドキさせられた。また子供との確執などは大富豪でも変わらないんだなぁとちょっと親近感を覚えるほど。 著者はロックフェラー家の三代目として様々な歴史的シーンに参加するなどしている。こうやって見るとアメリカが資本主義社会のリーダーでいられるのは、こういった民間の大物がいることによるのかなと思った。2015/12/20