内容説明
ジュディスは著名な歴史小説家。美貌に恵まれ、次期英首相候補の婚約者でもある。王政復古を題材にした新作の取材で、ロンドンに滞在中だ。実は彼女には、もつ一つ、自分の出生を確かめるという目的があった。精神科医パテール博士が投与した薬によって、幼時に戻ることに成功した彼女の心は、さらにさらに時を遡って…。著者には珍しい人格転移を扱った表題作ほか、4編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
清水聖
2
親きょうだいと死別した歴史小説家と、 息子を殺され復讐に取り憑かれた魂が 時を超えて重なり、ふたつの悲願が果たされる。 そして彼岸が訪れる。 そしてフィアンセを喪った若手政治家が残る。 物語はそこで終わるが… そんな作品。 記憶も記録も同様に「遺され伝わる因子」になる。 トラウマは「カラダ」にも「セカイ」にも良くない。 それがまだまだ続いておんねん。 それがまだまだ残っておんねん。2020/08/29
ブナ太郎
1
これは、またまた。ミステリというよりか、サスペンスか。なんというか、怖いの一言。読後感としては、十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLAに近いのかな。2021/10/28
なぎな@灯れ松明の火
1
表題作が面白いと言われて読んだが、意外性がない為か想像してたより面白くない。いや、期待し過ぎたのか。 (ここからネタバレあり) 余談だが主人公の双子設定は正直いらなかったと思う。蛇足だ。もっと何か秘密があるのかと思ってた。 2011/01/29
ちひろ
0
アナスタシアについての物語ではなく、似たような症状かもしれない状態に陥った女性の話。最後の短編以外は後味があまりよくないけれど、はらはらどきどきする。2013/06/02
青猫ちびすけ
0
表題作の中編と短編「ラッキー・デー」の2作品は底意地の悪い作品だと思う。 「同窓会の恐怖」と「二重の鏡像」は勝手な思い込みから狂気にかられたストーカー男の話。 一番心が和んだのは「迷子の天使」。母と幼い娘の互いを呼び合う力が描かれる。2012/07/24