新潮文庫<br> 悲しみよこんにちは

新潮文庫
悲しみよこんにちは

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  • サイズ 文庫判/ページ数 164p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102118016
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃちゃ

122
初めて読み終えたときの心の震えが蘇る。17歳のセシルと同様に、呆然と本を閉じたあの頃…。まばゆい陽光が降りそそぐ南仏で、ひと夏の悲劇が彼女にもたらした代償は、深い喪失感と孤独。思春期特有の繊細で純粋で残酷な心のありようを、危ういまでに繊細なサガンの感性が捉えた傑作。他者を傷つけることも知らずに疾走する思春期の情動を、鋭利なナイフのような筆致で描く。煌めく太陽とは対照的な、翳りを帯びた「悲しみ」を、人は誰も心の奥底に隠し持ち大人になる。透明なガラスに触れたときの手に残るヒヤリと冷たい感触。夏の終わりに。2019/08/31

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

102
避暑地で一夏を過ごす父娘。愛人を連れ別荘にやってきた父を訪れた女性アンヌ。亡くなった母の友人だった知的で美しい彼女は、少女に対し母のような厳しさで接してくる。父がアンヌとの再婚を考えている事を知った少女はある策略を思いつく……。1954年、サガンが18歳で発表したデビュー作。17歳のセシルの若さゆえの残酷さが際立つ苦い青春小説。10代で読んだ本書を久々に再読し、セシルと父レイモンの関係について考えさせられた。手元にあるのは2005年発行の141刷。2008年に出版された新訳をレイモンの視点で読んでみたい。2015/06/25

扉のこちら側

99
再読。2016年306冊め。もはや自分の10代も遠くなると、「あの頃の自分」を思い返すことはこのような形で物語の中の10代の少年少女に会うことでしか機会がなくなってくる。自己承認欲求とか大人目線での分類を脇に置いても、いつも焦燥感に駆られていたような気がする。しかしそれも現在の自分視点で思い返すからであって、記憶の中の自分の代弁者はいつかまた再会する物語の中の誰かなのだ。2016/05/06

ジョゼ★マイペース出没@アイコン変更

74
サガンが18歳で書いた処女作。 気怠い空気感で、鋭く繊細な作品。 巧みな心理描写で少女の危うさが見事に表現されていると思う。 17歳の主人公セシルは、これを書いた18歳のサガンの投影なのかもしれない。 色々な経験が少ない少女だからこその残酷さで相手を傷つけ、失って初めて犯した罪の重大さを知ることになる。 サガンの言葉はリアルでとても鮮やかだ。 朝吹登水子さんの訳も素晴らしく、少し難しさを感じる箇所はあったが、サガンの雰囲気にとても合っていると思った。 河野万里子さんの訳でも読みたい。2023/08/14

みも

55
表紙変更。サガン=ビュッフェのイメージで馴染んでいたので残念。サガンの処女作にして代名詞とも言える名作。稀に見る濃密な150頁。およそ60年前の作品でありながら、色褪せる事のない瑞々しさ。まずタイトルが秀逸。ネガティブな「悲しみ」とポジティブな「こんにちは」逆説的とも言える二つの言葉を違和感なく連結させ、一度聞いたら忘れる事のないインパクトを創出させるとともに、少女の老成と未熟の危うい均衡を見事に表している。10代で本作を書いたという驚異的事実を抜きにしても、作品の質に於いてフランス心理小説の金字塔。続き2017/03/18

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