感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
129
生き物たち~家畜として触れる羊や牛や鶏、昆虫や蛇、川の鳥たち~を、独特の目線で語っている。彼の描いたスケッチのような絵と共に。きっと何時間も庭で過ごした人なのだ。生き物たちを、彼らの視点で、一つの生き物が別の生き物を見るように、庭に何時間もいて、観察し、空想し、語りかけていたのだろう。優しいだけでなく、狩りで対峙するシャコについての語りなど冷徹さをも含むが、死にゆく生き物たちへの共感はあっても、憐みはほとんどない。自然と共に暮らすことは、その残酷さをも理解し体得することなのだと思わされた。2016/08/20
新地学@児童書病発動中
125
『にんじん』で有名なルナールがフランスの田園の生物を、彼一流の軽妙な文体で表現していく。例えば、蛇は「長すぎる」。これはちょっと極端すぎるが、蝶の「二つ折りの恋文が、花の番地を捜している」は詩的で機知に富んで、美しい表現だと思った。表現が辛辣になることもあるが、根底にはルナールの小さな生き物たちに対する愛情が感じられて、読んでいて心が和んだ。ボナールによる挿絵も素晴らしく、一見の価値がある。2016/06/17
匠
120
好き嫌いは分かれるようだけど僕にはとても面白かった!68項目もの鳥や魚、動物や昆虫をそれぞれ独自のユーモアあふれる観察眼で織り成す文章は、日記のようでもあり散文詩のようでもある。フランス語の女性名詞、男性名詞にあわせて彼、彼女という三人称で書かれてるのが擬人的な効果も伴っていて楽しかった。またロバが大人になった兎だとか、蛇なんか”長すぎる。”の1言だけで終わってたり、蝶は”二つ折りの恋文が、花の番地を捜している。”なんてロマンティックな表現もあって、ルナールの他作品にも翻訳された岸田氏にも興味が湧いた。2014/02/14
マエダ
73
コメントに窮する。蛇がよかったとかいってもいいのかな。2017/09/05
☆よいこ
66
年上の友人のおすすめ本。多くの鳥、いきもの、木々の様子などを描くセンス・オブ・ワンダー。美しい文章表現の中に差し込まれる「くそツグミ」にニヤリ▽[蝶]二つ折りの恋文が、花の番地を捜している。▽[蟻]一匹一匹が、3という数字に似ている。それも、いること、いること!どれくらいかというと、333333333333……ああ、きりがない。▽[鳥のいない鳥籠]僕のお陰で、そのうちの少なくとも一羽だけは自由の身でいられるんだ。▽良本2023/12/09