感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
113
壮絶な人生と素晴らしい家系と交流。父・舟越保武は長崎二十六殉教者記念像を作った彫刻家。彼の弟は彫刻家、舟越桂。父の友人・高村光太郎に千枝子と名付けられ、夫は「夢であいましょう」を制作した末盛憲彦。しかし子どもが8歳と6歳の時夫が心筋梗塞で急死。息子は難病で25歳の時下半身不随の障害を負う。彼女は絵本に生涯を捧げて「すえもりブックス」を立ち上げた。絵本「あさ」でボローニャ国際児童図書展グランプリを受賞し、美智子上皇の本も出版した。「絵本はハッピーエンドでなくても、将来に希望をつなぐものでなければならない」2023/06/22
ネギっ子gen
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【なんだか不思議に色々物事が動き】舟越保武の長女で、美智子さまの講演録の編集者として知られる著者が、波乱に富んだ人生の途上で出会った人々との思い出を語る書。巻頭に写真掲載。<人と人との出会いは必ずその痕跡を遺すと言われました。私は今年82歳になりましたが、そのことをやっと心から納得することができるのを感じます。そして、それは思いもかけないくらいに、深い想いです。あの人との出会いがなければ、こんなこと気が付かなかった、とか。そして、あの人との出会いと気まずい別れがなければ、こんなこと思わなかった、とか>。⇒2024/10/21
飼い猫の名はサチコ
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『「私」を受け容れて生きるー父と母の娘ー』を読んで以来、著者の本2冊目を読了。「人と人との出会いは必ずその痕跡を残す」とは、著者が学生時代に遠藤周作さんから言われた言葉であり、この本のタイトル。様々な才能に恵まれた一族に生まれ、価値ある仕事を成し遂げた一方、配偶者に二度も先立たれたり、難病を抱えて生まれた長男がスポーツ事故で下半身不随となり40代で早逝するなど、禍福は糾える縄の如しというけれども、それにしてもと思ってしまう。色々乗り越えた人の文章は何もかも包み込んで穏やかで深い。2024/05/15
ニワトリママ
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たまたまNHK「日曜美術館」で、著者の家族を取り上げた番組を見た。その翌日、書店でこの本を見かけ、迷わず購入。 著名な彫刻家の娘であり、上皇后とも交流がある。絵本の世界で国際的な活躍をされた聡明さと華やかさも随所に伺われる。一方で経営していた出版社が行き詰まったり、夫や息子を亡くすといったさまざまな悲しみも経験されている。2025/01/19