新潮文庫<br> 拉致と決断

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新潮文庫
拉致と決断

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  • サイズ 文庫判/ページ数 316p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101362229
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

出版社内容情報

自由なき生活、脱出への挫折、わが子についた大きな嘘……。北朝鮮での24年間を綴った迫真の手記。拉致当日を記した新稿を加筆!

恋人と語らう柏崎の浜辺で、声をかけてきた見知らぬ男。「煙草の火を貸してくれませんか」。この言葉が、〈拉致〉のはじまりだった――。言動・思想の自由を奪われた生活、脱出への希望と挫折、子どもについた大きな嘘……。夢と絆を断たれながらも必死で生き抜いた、北朝鮮での24年間とは。帰国から10年を経て初めて綴られた、迫真の手記。拉致の当日を記した原稿を新たに収録。

内容説明

恋人と語らう柏崎の浜辺で、声をかけてきた見知らぬ男。「煙草の火を貸してくれませんか」。この言葉が、“拉致”のはじまりだった―。言動・思想の自由を奪われた生活、脱出への希望と挫折、子どもについた大きな嘘…。夢と絆を断たれながらも必死で生き抜いた、北朝鮮での24年間とは。帰国から10年を経て初めて綴られた、衝撃の手記。拉致の当日を記した原稿を新たに収録。

目次

拉致、その日―一九七八年七月三十一日
絶望そして光―このまま死ぬわけにはいかない
人質―日本に引き留めようとする家族とも「戦わ」なければならなかった
自由の海に溺れない―日本の自由は、私たちに興奮と戸惑いをもたらした
自動小銃音の恐怖―この地の戦争に巻き込まれ、犬死するのが口惜しかった
生きて、落ち合おう―これは父さんとおまえだけの秘密だよ
煎った大豆を―配給が途絶えたという話が耳に入るようになった
飢えの知恵―その男は小魚をわしづかみにして、洋服のポケットにねじ込んでいた
配給だけでは食えない―私はトウモロコシが一粒落ちていても、拾うようになった
望郷―丘の景色のむこうには、海があるような気がしてならなかった〔ほか〕

著者等紹介

蓮池薫[ハスイケカオル]
1957(昭和32)年、新潟県生れ。中央大学在学中に拉致され、北朝鮮での二十四年間に及ぶ生活を余儀なくされる。帰国後、同大学に復学し卒業。2005(平成17)年、初の翻訳書『孤将』(金薫著)を刊行。現在は、新潟産業大学准教授を務めるかたわら、執筆・翻訳に携わっている。’09年、『半島へ、ふたたび』で新潮ドキュメント賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

びす男

71
「絶望に陥っても、それよりさらに絶望的な状況を想定しながら自分を慰めようとする、この習慣は、拉致されてから身についたものだった」■北朝鮮に拉致され、帰国を諦めて暮らした蓮池さん。述懐の端々にやりきれなさを読み取り、被害者の夢や絆をたち切る拉致の罪深さを感じた■一方、市井の人々の暮らしぶりを詳しく描写しているのが新鮮だった。北のイメージに厚みが出て、「国民と指導部を分けて考える」ことが、やっとできそうだ■北での暮らしでも、人々との交わりはあったはずだ。「拉致」と「決断」で蓮池さんは二度、絆を失ったんだろう。2018/08/25

James Hayashi

41
自分を著者に置き換えて読んでみたが、24年間という閉ざされた時間にとても耐え切れなかっただろう。先に幾つかの著作があるため、拉致の真相や政治的背景、国際関係などはほとんど触れられず詳細が省かれているように感じたが、実際は残された拉致被害者を考慮されているため、真髄は書かれていないようだ。しかし家族を守るため北朝鮮に従順していると見せかけていた様子や監視された生活が描かれた生活実態の記録であり心情の変化の記録。著者の苦労も伝わってくるが、北朝鮮の疲弊した国民の思いも感じる事ができた。2017/04/13

37
蓮池さんをはじめ、拉致被害者の方々が日本に帰ってきた映像は、衝撃と感動で今でも忘れられない。もうあれから13年が経過してしまったのか。蓮池さんは妻もあり子もあり、日本に戻れる期待もしないままに、一生北朝鮮にいる覚悟ができていたであろうが、一部の被害者が帰国できたあとの残された被害者は、期待と不安を抱えながら待たされ続け、辛い13年であっただろう。そしてこれからも…。蓮池さんのお子さんたちは日本に馴染んで頑張っていらっしゃるようなので、蓮池さんの決断は間違っていなかったとホッとできた。2016/03/27

やじ

31
拉致された「その日」を克明に記した新原稿を収録(帯より)‥恐ろし過ぎる。こんな風に突然人生を奪う国が隣にあったのだ。言葉を選びつつ、北朝鮮での生活を淡々と綴った本。失礼ながら、ほとんどが退屈な内容。とても悲しい。それが蓮池さんの24年だったのだから。一生日本に帰る事はないという諦めの中で、家族を守る為だけに毎日を過ごしたのだ。この本を読み、北朝鮮の人々も彼の国で一生懸命生きている事がわかった。まだ帰れない方々が大勢いらっしゃる。北朝鮮、いい加減にしろ、日本人を返せ。2015/05/16

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

30
北朝鮮に拉致、24年目に帰国した蓮池薫氏の手記。恐ろしげな北朝鮮収容所の話を聞いていたせいか、家族で暮らす北朝鮮は見張られて思想まで管理されているとは言え、肉体的に痛めつけられる事が無かった事にちょっとホッとした。統制された生活の中で何とか必要物資を調達する北朝鮮の人々や、ゴボウに故郷を懐かしく思ったり杏子で梅干しもどきをつくる創意工夫。帰国してからの理不尽なまでの食料の廃棄への批判。蓮池氏が生き抜いてきたのは運だけではないかもしれんと思った。2016/11/24

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