内容説明
「狼の血が流れてるらしいぜ」。1万年前の縄文時代に生まれた、狼たちと少年キセキの絆。
著者等紹介
今井恭子[イマイキョウコ]
広島県生まれ。上智大学大学院修士課程修了。児童文学作家。『歩きだす夏』(学研)で第12回小川未明文学賞大賞受賞。『こんぴら狗』では、第67回小学館児童出版文化賞、第58回日本児童文学者協会賞、第65回産経児童出版文化賞・産経新聞社賞の各賞を受賞。日本文藝家協会会員、日本児童文学者協会会員
岩本ゼロゴ[イワモトゼロゴ]
宮城県生まれ。東京藝術大学卒業。装画やキャラクターデザインなどを手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
101
縄文時代早期、今から約1万年前の、人と犬と狼にまつわる児童文学。幼い頃に狼に育てられたキセキが、犬と狼との間に生まれたツナグと共に育ち、舟で流され辿りついた海辺で定住する村で暮らすアオバという娘との恋愛と冒険のお話しを楽しみました。愛媛県上黒岩岩陰遺跡に埋葬されていた骨は犬と共にオオカミの骨も見つかっている。長野県栃原岩陰遺跡から発掘された縄文人の下半身の骨をみると、今のプロサッカー選手のように鍛えられていたらしいです。全国に9万か所以上もある縄文の遺跡にはどこからも武器や殺戮の証拠はみられないそうです。2021/09/02
☆よいこ
83
児童書。YA。狼萌え。縄文時代、山の民の赤ん坊が狼に攫われた。数ヶ月が過ぎたが赤ん坊の生存を信じた母親は仲間に頼み込み狼の足跡を追う。三匹の狼を倒し、巣には狼の子が一匹と赤ん坊がいた。狼はオオアシ、赤ん坊はキセキと名付けられた。一緒に成長した二人は一心同体だったが、キセキを助ける為にオオアシは足を失う。オオアシは狼犬ツナグを遺し死ぬ。キセキとツナグは狩りに出るが、海に投げ出され、二人は海の民に助けられる▽縄文の生活様式がよくわかる多くの参考文献つき。たくましい。2022/05/31
榊原 香織
76
縄文時代、狼と人間との交流。 これ聞くだけでもワクワクしますね。 ああ、縄文時代に生きたかった・・。 ニホンオオカミは小さめだと思うんだけど、作品のイメージは大陸狼ぽい。 良質な児童文学。 (オオカミ)犬は決してあきらめない 最初からしくじることなど考えない2022/06/20
ゆのん
71
縄文時代。赤ちゃんの頃に狼に連れ去られた『キセキ』と狼犬『ツナグ』の物語。とにかく事件に巻き込まれるキセキ。彼の母親の気持ちになって読んでいると心配で心配で。彼の側にはとっても賢いツナグがいつも居る。賢さと忠誠心が素晴らしい。そして『アオバ』のユーモアと前向きな姿もとっても良い。先人達の習慣や生活ぶりも興味深くハラハラしながらも楽しい物語だった。2021/08/06
背古巣
40
お気に入りさんのレビューが気になって手にとりました。児童文学と言うことで、内容は単純明快ですが主人公のキセキとツナグが幾多の困難を乗り越えていくのを面白く読みました。「それ見たことか」と思う場面があちこちのあり、「ここら辺で読み手に教訓を垂れようとしているな」というのがありましたが、全く説教臭くなく、抵抗なく読めました。ツナグが健気!面白かったです(^o^)✌️。2021/08/30