内容説明
前代未聞の怪異が村に跋扈する中、閑散とした病院の奥で、連夜密かに地獄絵巻が繰り広げられていた。暗紅色の液体が入った試験管の向こうに、愛しい骸の変化を克明に記録する青ざめた顔。ゆっくり振り翳された杭…。はびこる「屍鬼」を壊滅させるための糸口が見え出した。しかし、その時、村人の絆が崩れ始める。生き残った者たちが選んだ策は―。思わず目を覆う展開、衝撃の第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミステリにゃん
127
え?これもう4巻だよね?次巻で終わりだよね?そう不安になる程に混沌としてきます。 静信の書く小説も段々意味を成すような。 これまで各々価値観や立場が違えど手を携えてきた敏夫と静信の中で不協和音が生じてくる。 最終巻はどうなるのか?楽しみでしょうがない。
ミュポトワ@猫mode
125
屍鬼4巻読了しました。この巻は、ひたすらに長い。しかも3巻から同じ章の続きって言う長丁場でしたが、クライマックス近くなってきたので楽しく読むことができました。ラスト1巻あるので、まだまだ伏線が張られていて、どこで落としてくるのかワクワクする内容ではあるので、続けて読みたいと思います。今回は久しぶりの小野先生の長編ホラーですが、ここまでそんなに怖くないので、最後どこまで怖くなるのかという点も楽しんでいけたら良いなって思います2020/07/02
nobby
112
もはや誰が“死んだ”“起き上がった”の判別もつかぬ状態。その脅威に立ち向かおうとする大人・子供のどう戦えばいいのか、そして周囲にその危機感が全く伝わらない様子が痛々しい。中でも昭の奮闘、そしてかおりの死を覚悟した静信へのお願いが涙を誘う。一方、屍鬼になった面々も、また逢いたいから、あるいはただ空腹を満たすために人間を襲う様子にも切実感が…最後に屍鬼側にも少しずつほころびが生まれているが、その終結の着地点は全く想像できない。2015/10/22
セウテス
102
【屍鬼】シリーズ第4弾。屍鬼たちの物語が展開しているにも関わらず、俊夫や静信らの行動が遅すぎるだろう。そうしている内にも、死体はどんどん増えて続けているというのに。正直、行動した方法にも疑問が残る上、2人の感性の違いにも違和感。生存がかかっている最中に、自分の観念的な思いを前面に出すなら、ただのめんどくさい奴ではないか。さらには、夏野の退場が全く理解出来ない、最後の態度にも疑問符がつくが。兎に角、物語は出揃った感が在るのに、イライラが募る状態である。面白くてページが進むのではなく、早く納得がしたくて進む。2020/09/20
sayan
94
現実主義者と理想主義者の主人公格2名に焦点をあてた物語展開は、各人の苦悩や逡巡を追体験する。視点を変えるとそれらは酷く自己中心的とも言える。が、最終巻に向けての伏線と読み進める。朧気ながら「捕食(=殺し)の意識」と「善悪の彼岸」が浮かびあがる。特に、ある場面のやりとりは、某作品の「人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているが、わたしの仲間たちが食うのはほんの1~2種類だ、質素なものだ。」を思い出させる。ただ、ここにおいて理想主義者である1名の行動と思想は物語を滋味深くする。しかし結局何もしない姿が印象的だ。2021/05/05