出版社内容情報
祇園の名店『和食ZEN』の奥にある秘密の扉。『小堀商店』の入り口だ。ZEN店長の淳、売れっ子の芸妓ふく梅、市役所勤務の伊達男木原の三人は、食通として名高い百貨店相談役、小堀善次郎の命を受け、とびきりのレシピを買い取るため、情報収集に努めている。そして今日も腕利きワケありの料理人が現れて――。京都と食を知り尽くす著者が描く、最高に美味しくてドラマチックなグルメ小説。
柏井 壽[カシワイ ヒサシ]
著・文・その他
内容説明
祇園の名店『和食ZEN』の奥にある秘密の扉。『小堀商店』の入り口だ。ZEN店長の淳、売れっ子の芸妓ふく梅、市役所勤務の伊達男木原の三人は、食通として名高い百貨店相談役、小堀善次郎の命を受け、とびきりのレシピを買い取るため、情報収集に努めている。そして今日も腕利きワケありの料理人が現れて―。京都と食を知り尽くす著者が描く、最高に美味しくてドラマチックなグルメ小説。
著者等紹介
柏井壽[カシワイヒサシ]
1952(昭和27)年、京都市生れ。同市北区で歯科医院を営むかたわら、小説、エッセイを執筆する。テレビ、雑誌等の京都特集の監修を務め、京都のカリスマ案内人とも称される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
100
『鴨川食堂』は料理を食べる側の思い出を物語にしていますが、この『レシピ買います』は料理を作る側の想い入れを物語にしています。消えてしまうのが惜しい料理のレシピを買い取るという小堀商店。売った料理人は以降そのレシピの料理を作ることは禁止されます。レシピを残していくのが小堀商店の目的だと書かれていますが、具体的にどうレシピを活かしていくのかが不明のままなのが残念です。このままだと素晴らしい料理が世の中に出て行きません。ここは是非、買ったレシピを活用する物語が出版されることを切に望みます。2020/05/15
佐々陽太朗(K.Tsubota)
94
美食を極めるために世の優れたレシピを買い集めるという話。料理人にとって、長年の修行と試行錯誤のうえで他にマネのできないところまで昇華させた料理のレシピはまさに人生そのものといえる。そのレシピを売ろうとするにはやむにやまれぬ事情があり、ドラマがあるのだ。我々はそのドラマに胸を熱くするのである。本書の魅力は物語としての面白さもさることながら、場面場面に登場する様々なおいしい食べもの。おそらく柏井氏が食べ歩かれた実体験をベースに書かれており真に迫っている。私が特に好きなのは第五話「オムライス」でした。2018/10/14
カメ吉
92
これは料理版の水戸黄門的なお話でとても人情味の溢れる一冊でした。 六話からなる短編集で読みやすくストーリー展開もいい意味でワンパターンで軽快でよかった。どの話も最後はめでたしで読後感がよく温かな気分です。これも『鴨川食堂シリーズ』と同じくシリーズ化の予感。 柏井作品は京都弁がしっかり使われて料理も京都も調査がしっかりされてて感心します。2018/10/17
ぶんこ
49
百貨店相談役の小堀氏が、とびきりのレシピを買う。設定は面白く、登場人物も素敵な人ばかりで楽しめます。ただ、こうやってレシピを買うことで、せっかくの美味しい料理が万人の口には入らなくなる事が勿体ないと思ってしまうのでした。買い取ったレシピをどうするのでしょう?売った人々の事情もそれぞれで、決して小堀氏やふく梅さん、淳さん、木原さんが悪い人ではなく、むしろ人情味溢れる人たちだけに疑問が残ります。シリーズ化されているのでしょうか。続きが気になります。2019/10/09
ユメ
44
『鴨川食堂』の魅力をしっとり深めた、お腹も心も幸福に満たされる物語。料理の描写が垂涎ものなのは言うまでもなく、料理の奥深さの解説を堪能することができる。そして、本書はただのグルメ小説ではなく、温かな人情物でもあるのだ。レシピを買い取りたいという申し出に応じるのは訳ありな料理人ばかり。レシピを売ってしまえば料理を続けられなくなるのに、それでも手放さざるをえない事情があるのだ。そんな人々に対し、善次郎はレシピにとっても料理人にとっても最善な未来を導けるよう取り計らう。その粋さは、人生に挫折した人への応援歌だ。2018/10/24