出版社内容情報
筒井 康隆[ツツイ ヤスタカ]
著・文・その他
内容説明
夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。’60年、弟3人とSF同人誌“NULL”を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が“宝石”に転載される。’68年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。’81年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、’87年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、’89(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、’92年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。’96年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
483
新本格の作家さんたちが叙述トリックをしこたま乱発しているので、今読むと衝撃度はそれほどでもないです。ただ文章力の差なのか時代のせいなのか、新本格の作家さんでは出せない端正な味わいがあります。さらっと読める小品的ミステリの傑作でした。2016/03/08
サム・ミイラ
409
また映画化不可能な作品を読んでしまった。なぜか避けていた筒井康隆。氏を代表する叙述ミステリーということで期待を胸に読んだ。いや良く出来ている。西洋の古典のような雰囲気。見取り図に至るまで計算され尽くされている。更には挿入されるロートレック作品の挿絵も愉しく実に粋な小説だ。ただこの動機はあまりにクレイジーで犯人も分かってしまうため少々残念。いっそ同性愛なら共感出来たかも。語り手が頻繁に入れ替わるのは斬新だが反則ギリギリな気もする。しかしこのまるでマジックのようなトリックの為と思えば納得するしかない(笑)2016/01/30
ehirano1
377
各章に一文字のタイトルが付いているのですが、第十七章の「解」に至ってはもはや問題集の解答解説レベルで、この推理の根拠は〇〇ページの□□行目、という親切ぶりで思わず笑ってしまいました。もしかして殺人事件のプロットなんかよりもコレがやりたかったのかなwww。2020/09/20
ナルピーチ
247
サクッと読める頁数なのにそのトリックはとても秀逸で凄く鮮やかに騙された!そんな一冊だ。画家“ロートレック”の作品が彩られた洋館に集まった男女。そこで発砲された拳銃、一体誰が?警察の捜査の中、第二・第三の殺人事件が巻き起こっていく…。稀代の文豪“筒井康隆”が描く本格ミステリ。読み進めながら何か違和感を覚えつつも答えに辿り着けなかったが上述の通り、気持ち良く騙されたので文句無し!これだから小説読むのはやめられない!2021/02/14
hiro
231
筒井さんの作品は昔読んだショートショート以来。『イニシエーション・ラブ』を読み、叙述トリックが好きになり、ネットで評判の叙述トリックの作品を探し、『葉桜の季節に君を想うということ』、『アヒルと鴨のコインロッカー』、そしてこの作品と読んできた。今回も騙された。この作品は、別荘での殺人事件の犯人探しに絡んだ叙述トリックなので、面白さも倍増だった。DNA鑑定も、携帯電話も出てこない時代が、逆に良かった。しかし、犯人は使ったゴム手袋を簡単に捨てているが、裏側に指紋が残っていると思うのだが、これってどうなのだろう。2013/01/05