感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
8
「新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」(ブリア−サヴァラン)。新年度の予算確保のため、余った予算を文字通り食いつぶすよう『景気調査官』に命じられた男。庶民の味であるたこ焼きを振り出しに、北は知床、南は鹿児島まで、自然の滋味あり、老舗の意地あり、食の極致あり、途中から、彼の景気調査官の役割(官僚主義風刺)なんてどうでもよくなって筆者の書きたいことだけ書いてる印象だったが、筆者の豊穣なるコトバの海に溺れる300ページ。幸せだ。2017/02/24
竹生
1
開高健はほんとに食の描写のうまい作家だと思う。普段、自分の食べられないものや見たこともない食べ物でもなんでも美味しそうに見える。2021/05/30
あかふく
1
もちろん食の問題を語っているわけですが、実は記憶の問題も語っているのではないか。ピクチャレスクと繋がりそうなのでこれも「心理的ピクチャレスク」のものとして面白い。また、「ロマネ・コンティ」とかについて山崎正和が言っていた(「不機嫌な陶酔」)のも記憶の問題だったはずなので、そういった批評にものり得るのではないか。2012/08/03
あかふく
0
水=身体2012/08/26
あかふく
0
余ったお金を文字通り「喰いつぶす」ために日本全国の料理を食べまくる小説。簡単なレベルで、食を語っているとどうも性的な話になってしまうというのが忠実になぞられていて面白いし、そもそもこれが単純な食べることではなく、「ガストロノミ」という領域に踏み込んでいて、それゆえに「書くこと」が必要とされてくるなどと、先行研究(メネル『食卓の歴史』)を参照しながら述べることができる。このあたりの議論、高山宏『庭の綺想学』内に詳しく、それがこの小説の最後の風景描写ともつながってきていて大変おもしろい。2012/05/22
-
- 電子書籍
- noicomiケダモノくんはあきらめな…