出版社内容情報
明治後期、北海道の山中で一匹の犬を相棒に狩猟に生きる男・熊爪。人里に馴染めず山を縄張りとする彼は、冬眠を逃し徘徊する凶暴な熊「穴持たず」に対峙する。穴待たずとの死闘、そして盲目の少女・陽子との運命的な出会い。獣と人間との境界を超えた理屈のない命の応酬の果て、熊爪が見たものとは。「生きる」とは何か、という問いに真っ向から挑んだ、圧巻の直木賞受賞作。(解説・角幡唯介)
【目次】
1 ~ 1件/全1件
- 評価
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ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
piro
44
一言で言えば理解を超えた作品。道東の山中で暮らす孤高の猟師・熊爪の姿を描いた物語は、常に「死」の臭いを感じさせる。羆との対決はまさに殺るか殺られるか。生々しく、凄惨な描写に時折怖気付きながらも、それも含めて熊爪があちら側、即ち我々とは異なる野生側の存在であり、理屈や感情ではなく感性で生きているのだと言うことを強く感じました。後半、熊爪が選んだ道は、彼自身も理屈ではなく感性で選び取ったもの、ということなのでしょうか。2026/09/02
shinchan
33
河﨑さん、初読み作家さんでした。本屋さんの店頭で文庫本になった『ともぐい』発見❗️迷わず購入しました。170回直木賞作品ですね。舞台は明治時代の後半の北海道道東地域。かなり重み十分な文章は河﨑さん独特なものなのでしょうね〜 、、、、?結末はこうきたかっと言う印象でした 。迫力十分なお話ですよ。2026/08/06
Kei.ma
32
失意の数はいかほどあったか。選んだ語彙から伝わってくる「生」との向き合い方。辛苦にもがいた者のみに宿った悟りが滲みでているよう。物語は猟師熊爪が牡鹿を仕留めた場面から。以後、道東の山中でハラハラドキドキするヒグマとの闘いに胸を驚かすのかと思った。だが違った。狩る、狩らないの方程式すら存在しない。死を見つめ心に去来した言葉に従う。何事にも抗わず神仏の概念すらない。「生」は音もなく「死」を返す。壮大な共食いかと嘆息した。2026/09/29
なつくさ
28
初読みの作家さん。移ろい変わりゆく環境において適応力こそが生き残る全てだ。明治後期、世界が変わっても変わらずにいると思っていたものがいつの間にか自分を残して変わっていた良輔の気持ちが痛々しい。裏切られた気持ちと羨ましい気持ち、友として送り出したい気持ちが一緒くたになって寂しい気持ちになった。一方、熊爪もまたその本質が変わることはなかったのだと思う。猟師として暮らし、狩ること、狩られることの矜持は最期の瞬間まで彼を離さなかった。それが一匹の雌熊とのともぐいを、彼女の決断をその結末を肯定させたのだと思うから。2026/09/20
MATHILDA&LEON
28
猟師として肉を獲り、店に卸す“熊爪“。人との関わり合いを極端に嫌い、山小屋で暮らす彼は、ある一件を元に、熊と闘うことになる。必要な分だけの、自然の命を頂く主人公“熊爪”の価値観、死生観にはハッとさせられるものがある。描写が生々しいが、自然を描く美しさは巧みで、頭の中で絵が広がってゆく。男性作家が書いたのかと思うほどに荒々しい筆致だったが、まさか女性作家だったとは。直木賞受賞作として納得の一冊。2026/08/25
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