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内容説明
二つの戦争、そして戦後国際秩序の行方は
ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルによるパレスチナへの非人道的な攻撃。目まぐるしく国際情勢が変化するなか、この二つの戦争に向き合い、プーチンとネタニヤフに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)。日本人として初めてそのトップに就任した著者は、ほどなくしてプーチンから逆指名手配を受けることにもなった。さらにはトランプ大統領の大統領令による経済制裁の脅威にさらされるなど、世界規模の戦争犯罪に向き合ってきた国際刑事裁判所はいま、存続の危機にある。
第二次世界大戦後にホロコーストに向き合ったニュルンベルク裁判、日本の戦争責任を裁いた東京裁判。二つの軍事法廷裁判にルーツをもち、国際平和秩序を守ろうと奮闘してきた国際刑事裁判所とはいかなる機関か。二つの戦争という異例の事態にどう向き合ったのか。「世界の警察」アメリカが過去のものになりつつある戦後国際秩序の行方とは――。
「世界で起きていることが日本では起きないとは限らない」。「力による支配」がむき出しになりつつある今こそ「法の支配」による安全保障が必要だ。
「ウクライナ戦争の勃発で完全に覚醒した」と語る赤根さんが、その奮闘を通じて未来への責任を語りかける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
20
日本中が彼女を知ることになったのはプーチンに逮捕状を発付し、そしてロシアから指名手配を受けたニュースだろう。そんな彼女が名古屋出身と聞きどんな人生か興味を持っていたので本が出してくれて嬉しい。3章の彼女の人生の章から読み始めた私をお許しください笑。この本を読むまでICJとICCの違いもわかっていなかった。前者は国家間の紛争、後者は個人を裁く。だから、ロシアではなくプーチンが裁かれたのか。彼女の人生だけでなく、ICCの役割や仕事の流れも理解できた。混沌とした世界でICCが維持できるか。皆で守っていかないと。2025/06/29
もえたく
17
プーチンから指名手配をかけられた国際刑事裁判所(ICC)の日本人裁判官として有名になった赤根智子氏の半自伝的な面と、現在の世界情勢の中で、ICCが武力ではなく「法」の力で守ろうする奮闘ぶりを分かり易く解説。イスラエルのネタニヤフ首相にICCが逮捕状を出したら、米国のトランプ大統領がICCへの制裁を可能にする大統領令に署名したなど知らない事ばかりで読み応えあり。東大女子の赤根氏が愛知県庁の採用試験を受けた際に「友だちいますか?」と聞かれたエピソードは苦笑するしかない。2025/08/16
桐一葉
4
読んでみたいけど難しい本なんやろなぁ…と思いながら購入。けど、するする読めたー!!賢いひとは分かりやすい文章書いてくれはるんやわー!ありがたい。と同時にほんのり赤根智子さんという人物が伝わってきて、すごく魅力的なひとなんやろなぁと思えた。かなり厳しいお仕事内容やけど悲惨な場面を読むことなく、ICCがどういう役割なのか少しやけど理解がすすんだ。知らん世界やったけど、知りたかったことを教えてもらえてもっと知りたくなった。絶対に世界に必要な存在。2025/06/22
へい
3
最後の年表の1行でどれだけの人が倒れているのか。ICC所長ということで、冷静にともすると冷徹にすらなって業務に取り組まれているのかと思ったら、燃えるような熱い想いで業務に取り組まれていることがよく分かった。法の支配という大原則が否定されることすら起こりつつあるからこそICCにはどっしり構えてほしいけれど、巨大国こそ参加していないという国際連盟のような状態ということがよく分かった。日本はもっと自信をもって国際社会でリーダーシップを発揮するべきだと思う。力ではなく、法的に包囲網を築くことが大事だと思う。2025/08/13
Hisashi Tokunaga
3
ICCについて、標準国際法の教科書で学べなかったことが、この一冊で奥深い組織なんだろうなと考えさせられた。第三章第四章エピローグは興味深く読んだ。2025/08/11