出版社内容情報
「治療後の人生」を過ごすためのアドバイス
5年生存率の上昇によって、今やがんは「死に至る病」から、「生涯付き合っていく病」となりつつあり、しかも現役世代の罹患は3分の1にのぼる。復職や収入減、結婚や出産など、がんを抱えながら生きる難しさ(キャンサーロスト)に向き合う方法をまとめた一冊。
著者の花木裕介氏は38歳の時にステージ4の「中咽頭がん」が判明。幸いにも約9か月の治療で病巣は取り除かれ、復職も果たしたものの、重要な仕事は任せてもらえず、残業の制限などもあって給料は激減。罹患前に描いていた人生のキャリアプランは大幅に修正・縮小を余儀なくされたーー。
花木氏自身と、同氏が代表を務める一般社団法人「がんチャレンジャー」を通じて交流した罹患者6人のキャンサーロスト体験をもとに、罹患者本人はどう喪失感に向き合い、家族や職場などは罹患者にどう接していくべきかを探る。さらに、がん罹患経験者を巡る環境について、医学博士・医療経済学の専門家である真野俊樹氏(中央大学大学院教授)が解説。
これまであまり伝えられることが少なかった「罹患後の大変さ」をリアルな体験を踏まえて紹介し、「治療後の長い人生をどう過ごすか」をアドバイス。
【編集担当からのおすすめ情報】
日本人の2人に1人が罹患することから、がんは長く「国民病」といわれてきましたが、医療技術の進歩によって5年生存率が上昇し、かつては「死に至る病」とも言われた病気は、「生涯付き合っていく病」に変わりつつあります。今ではがん罹患者の3分の1は現役世代となり、「がんを抱えながら働く」「がんを抱えながら家族を養う」というケースは珍しくなくなっています。
しかしながら、がんに関する情報は依然として「治療法」や「早期発見」、「予防」といった情報が大半で、「がん治療を終えてからどうなるのか、どうすればいいか」はあまり知られていないのが現実です。
本書の著者・花木裕介氏は、38歳でステージ4の中咽頭がんに罹患し、約9か月の治療・休職を余儀なくされました。幸いにも治療によってがんは画像上消滅し、罹患前とほぼ変わらない体調に戻ったものの、復職後は「経過観察中のがん罹患経験者」であることが影響して、休職前と同様の仕事は任されず、収入も大きく減ってしまいます。また、周囲の“過剰な気遣い”に戸惑う場面も多々ありました。
がんを抱えて働く、がんを抱えて生きていくことの難しさ──それを実感した著者は、一般社団法人「がんチャレンジャー」を立ち上げ、同様の悩みを抱える罹患経験者たちの声を集め、彼らの人生の再挑戦に有益な情報を発信しています。
体験した人でしか分からない「キャンサーロスト」とその向き合い方は、がんを克服して仕事や生活のリスタートを目指す人々だけでなく、その家族や友人、職場関係者にとっても役立つはずです。
内容説明
今やがんの5年生存率は66%まで上昇し、“生涯付き合っていく病”となりつつあり、罹患者の3分の1は現役世代。そうした中で復職や再就職、収入減、マイホーム計画、出産など、がんを抱えながら生きる難しさ(キャンサーロスト)にどう向き合えばいいのだろうか。38歳でステージ4のがんに罹患し、復職後はフルタイム勤務の傍ら一般社団法人「がんチャレンジャー」の代表として活動する著者が、自ら経験をもとにアドバイスする。
目次
第1章 治療は終わっても「キャンサーロスト」は生涯続く
第2章 思いがけぬがん宣告と128日にわたる治療生活
第3章 復職できたものの、仕事は任せてもらえない
第4章 給料激減、妻子の心配…花木家のライフプランの暗雲
第5章 罹患経験者たちとの対話―「キャンサーロスト」は人それぞれ
第6章 「キャンサーロスト」を乗り越えるには
第7章 周囲に分かってほしい「キャンサーロスト」
著者等紹介
花木裕介[ハナキユウスケ]
1979年、広島県生まれ。ヘルスケア関連会社勤務の2017年12月(38歳)にステージ4の中咽頭がん告知を受け、標準治療(抗がん剤、放射線)を開始。翌年8月に病巣が画像上消滅し、9月から復職した。フルタイム勤務の傍ら、がん罹患経験者の人生の再挑戦を後押しするために一般社団法人「がんチャレンジャー」を設立。「がん対策推進企業アクション」(厚生労働省の委託事業)の認定講師、千葉県がん対策審議会専門委員としても活動している
真野俊樹[マノトシキ]
1961年、愛知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医師、医学博士、経済学博士、総合内科専門医、MBA。臨床医、大和総研主任研究員などを経て、中央大学ビジネススクール教授、多摩大学大学院特任教授など。「がんチャレンジャー」のアドバイザーを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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