小学館新書<br> 凶暴老人―認知科学が解明する「老い」の正体

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小学館新書
凶暴老人―認知科学が解明する「老い」の正体

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784098253166
  • NDC分類 367.7
  • Cコード C0295

出版社内容情報

キレる高齢者の脳のメカニズムを解き明かす

駅やコンビニなどでやたらと駅員や乗客、そして店員を怒鳴りつけている高齢者が目立つ。こと暴行犯に限っては右肩上がりで増え続け、平成8年に比べて20倍もの逮捕者が出る始末だ。しかも、こうした「キレる高齢者」というのは、日本だけに見られる傾向であり、世界ではそのようなことはない。欧米では年齢を重ねるごとに幸福度が増すという研究結果があるにもかかわらずだ。
一般的には、男性ホルモンであるテストステロンがピークになる20歳前後がもっとも暴力的になり、他人に暴言を吐いたり、暴力を振るったりするのが普通なのだ。いったいなぜ、日本だけにこのようなお年寄りが増えたのだろうか。
もちろん、孤独や貧困といった外的要因があるのは事実だろう。しかし、本書では認知科学という研究分野から多くの実証実験を重ねて、「キレる高齢者」になりやすい脳のメカニズムを解き明かす。同時に精神的にも追い込まれていく高齢者を取り巻く日本の課題についても言及する。
高齢者にとっての3大不安要素は「カネ・健康・孤独」と言われる。そのあたりも本書を読めば、謎が解けるはずだ。

【編集担当からのおすすめ情報】
最近、やたらと大声で他人を罵倒する高齢者が増えていると思いませんか?駅やコンビニでキレているのはほとんどが分別がつくとされる高齢者です。いったいなぜなのか?著者の川合先生は認知科学の第一人者で高齢者をテーマに様々な実証実験を行っています。豊富な実験データなども余すところなく公開し、その謎に迫ります。

第一章 キレる高齢者は本当に増えているのか
第二章 前頭葉の「機能低下」が感情のブレーキを壊す
第三章 怒りと前頭葉の深い関係
第四章 認知能力は鍛えられる
第五章 冷たい視線に晒される高齢者の社会的存在
第六章 「孤立」が高齢者を追いつめる

川合 伸幸[カワイ ノブユキ]
著・文・その他

内容説明

駅やコンビニなどで駅員や店員に対して、大声で怒鳴りつけるのは圧倒的に高齢者が多い。実際、平成28年版の犯罪白書によれば、65歳以上の高齢者の検挙人数は8年の約3・7倍。構成比は平成9年には4・1%だったが、28年は20・8%を占めているのだ。中でも暴行・傷害は年々増えているのが現実だ。分別がつくとされる高齢者のこの状況は何に起因しているのか。認知症との関係はあるのか。そして、改善方法はあるのか。認知科学の第一人者が豊富な実証実験を元に「老い」の正体を解き明かす。

目次

第1章 キレる高齢者は本当に増えているのか
第2章 前頭葉の「機能低下」が感情のブレーキを壊す
第3章 怒りと前頭葉の深い関係
第4章 認知能力は鍛えられる
第5章 冷たい視線に晒される高齢者の社会的存在
第6章 「孤立」が高齢者を追いつめる

著者等紹介

川合伸幸[カワイノブユキ]
1966年京都市生まれ。日本学術振興会特別研究員、京都大学霊長類研究所研究員などを経て、名古屋大学大学院情報学研究科准教授、中部大学創発学術院客員准教授。専攻は比較認知科学・認知科学・実験心理学。2009年度日本学士院・学術奨励賞、日本学術振興会賞、2015年に日本学術振興会・科学研究助成事業審査委員長表彰ほか、多数受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

香菜子(かなこ・Kanako)

39
凶暴老人: 認知科学が解明する「老い」の正体。川合伸幸先生の著書。凶暴老人、些細なことでキレてしまう高齢者が増えているという報道はよく見聞きします。高齢者が凶暴になるには凶暴になるだけの科学的根拠がある。年齢を重ねれば誰もがいつかは高齢者になるのだから、本書で取り上げている老いの正体を高齢者と社会全体が正しく理解することが大切。高齢者を馬鹿にしたり批判したりするのは人として未熟なことではないでしょうか。2019/01/13

Isamash

30
川合信幸・名大情報学研究科准教授(1966年生まれ、専攻は比較認知科学・実験心理学)2018年発行著書。タイトルの印象と異なり、内容的には真っ当な科学的知見が述べられている。高齢者の凶悪犯罪は増加しているがそれは単に高齢者が増加したためと結論づけ。ただ高齢者は前頭葉の機能低下のために感情のコントロール力が弱くなっているのは事実の様。幸いに有酸素運動により抑制機能は高められるらしい。一方地方で姥捨山の習慣がかつて存在した様に、日本の社会には高齢者をよそ者扱いしている側面があることも指摘。共生社会推進を提唱。2024/03/01

carl

23
読んでいる最中は「なるほど なるほど」だったが、頭に残らなかった私の前頭葉の問題かも?と思ったので、まだキレる歳ではないようです。2021/01/20

mazda

23
前頭葉の機能低下が感情のブレーキを壊してしまい、結果我慢するとか怒りを鎮めることを難しくするそうです。加齢と共にこの低下が起きてくることは避けようがなく、そういう意味では高齢者が急に怒ることは仕方ないことかも知れません。当の年寄りは、年をとっても働きたいと考えている人が多いそうです。そんな彼らは必ずしも経済的に困窮しているわけではなく、社会とのつながりを求めていることが多いそうです。社会とのつながりが多いと生きがいを感じ、情緒が安定するとも。社会的に仲間外れにしないことが必要かもしれません。2019/02/08

leo

21
タイトルの"老いの正体"について知りたくて借りたのだけど、なぜ昨今報道で"キレる老人"が取り上げられるようになったのかということに関する考察に終始していた一冊だった。考察よりも、検証に採用されている実験方法の数々が興味深かった。2021/01/15

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