出版社内容情報
琵琶湖のほとりに、くさまおという少年がいた。この村には、雷がよく落ちる。そこでくさまおは、雷の落ちない平和な村にしようと一計を案じる…。若くして逝った画家三橋節子が、いとし子に描き残した愛と勇気の絵本。
巻末エッセイ・梅原猛「三橋節子さんのこと」/三橋節子年譜付
三橋 節子[ミツハシ セツコ]
著・文・その他
内容説明
むかしむかし琵琶湖のほとりに、くさまおという少年がいた。この村には、雷がよく落ちる。そこでくさまおは雷の落ちない平和な村にしようと、一計を案じる…。
著者等紹介
三橋節子[ミツハシセツコ]
1939年京都に生まれる。1957年京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)日本画科に入学。在学中新制作展に入選し、以後毎年出品。山登りを好み、陶器づくり、織物、七宝、彫金を手がけ、幅広く趣味をもつ。1967年、インド、カンボジアを旅行。1973年3月、右鎖骨腫瘍のため右腕の切断手術を受ける。左手で作品を描き、出品をつづける。1975年1月「湖の伝説 余呉の天女」を完成。絶筆となる。2月24日転移性肺腫瘍のため死去(35歳)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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森の三時
35
この絵本は、画家三橋節子さんがこどもたちへの贈り物として最後まで完成を目指して力を尽くし描いたものです。節子さんが描き残したのは12場面、足りなかった6場面は白黒なのですがこれは遺志を受けて夫が描いたものだそうです。琵琶湖のほとりに伝わる近江むかし話をヒントにその主人公は勇気と慈悲のある少年。名は息子さんと同じでした。母の愛を知るにはもうそれだけで充分だと思いました。2020/01/20
ヒラP@ehon.gohon
24
三橋節子さんが、絵本作家でもある画家鈴木靖将さんの奥さんだったというところからこの絵本を鑑賞しました。 ガンのため早逝された三橋さんが、自分の生命が長くない事を知って、子どものために残したのがこの絵本だそうです。 そう考えると、雷を退治しようとしたくさまおに、三橋さんの思いが込められているように感じます。 わが子に雷が落ちないように願ったのです。 それでも、雷を引き寄せる雷獣を捕まえながら、この村に雷を落とさないことを約束させて逃がしてやります。 命の尊さを痛感してのことだったのでしょう。 2025/01/16
たまきら
18
河童のお話だと思い込んで借りてきました。あはは。オタマさんは興味を持たなかったのでオカンだけ読みました。2017/07/02
gtn
13
この絵本は、死を迎えるに当たり、子に自身の生き様と思想を伝えようとしたもの。右手を癌で失い、左手一本で懸命に描いたが、未完に終わった。しかし、欠けている個所は夫が描き継ぎ、本書が生まれる。この絵本により何らかのメッセージを受け取るのは、実子だけではない。2018/11/03
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
12
日本画家の著者は新しい表現として絵本を選んだのではなく、死に向かっての必然的に絵本があった。2018/11/26