出版社内容情報
本書は、東京経済大学の主催で、今年5月末に開催された国際シンポジウム「1945年の敗戦から何を学んだか」を再構成したものです。日・独・伊の第一線の学者たちの発表と活発な討論で、戦争責任と戦後責任についての問題点が、国際的な視点からうきぼりにされています。同じ敗戦国でありながら、戦後異なった道を歩んだドイツとイタリアについての知られざる事実を学ぶことによって、現在の日本の課題が明らかにされます。 また、加藤周一氏の講演「体制の持続と断絶―日・独・伊の比較において」を巻頭に収録するとともに、学生部会の学生たち(日・独・伊・中国・韓国・台湾・在日外国人)の発表や討論の様子を色川大吉氏がコンパクトに紹介、若い世代の関心のありどころや、歴史認識を引き継いでいく際の難しさが、理解できます。 戦後50年にあたり、敗戦と戦争責任、そして戦争の評価の問題を問い直す本書は、今後の国際関係と世界平和を考える指針ともなりうるものです。図版・写真により、若い人たちのとっつきやすさ・読みやすさを配慮するとともに、充実した脚注により、広範な読者の理解が深まるように編集しました。
目次
体制の持続と断絶―日・独・伊の比較において(加藤周一)
第二次世界大戦と日本―戦争責任と戦争評価(色川大吉)
ドイツの戦争責任問題―地域史の視点から(ヘルベルト・ヴォルム)
イタリアの終戦―参戦からレジスタンスへ(フランコ・デルラ・ペルータ)
日・独・伊の比較の視点からみた敗戦―質疑と補足報告から
今、日本人は何をなすべきか―戦後改革と戦後補償(竹前栄治)
一九四五年以後のドイツ―変革・再生・連続性(ウード・ヴェングスト)
一九四五年以後のイタリア―経済再建と憲法問題(ジュリオ・サペッリ)
日・独・伊の比較の視点からみた戦後責任―総括討論から
学生部会シンポジウム―戦後50年、今、あの戦争から何を学ぶか(日・独・伊・中国・韓国・台湾・在日の学生たち)