出版社内容情報
日本人の生活を支えてきた職人の技、そこから生まれる生活道具は、プラスチック製品の出現などにより衰退の一歩をたどっている。生活道具の域を超えてしまった価格、継承者不足など問題点は多々あるが、それでも日本独自の文化である。その文化をどうしたら守り続けていかれるのか? 作り手たちの努力、使う人たちの思いを、著者が全国11か所に足を運び、名士たち21人と対話してまとめあげた待望の職人論。
内容説明
石像・竹細工・絵蝋燭・津軽塗・陶器・江戸切子など、ここに登場する職人さんたちは、日本人の生活を支えてきたもの作りの名工たちである。
目次
1章 伝統工芸の流れを見てきた職人たち(石に息吹を吹き込む自由な発想;世代とともに変わる伝統の技法;民芸の将来を考える)
2章 観光の世界で生きる職人たち(伝統を生かす金比羅さんの土産物;蹄の音が子守唄)
3章 技術の進歩に合わせて変わる職人たち(贅沢な実用品の悪戦苦闘;「世界文化遺産の町」の底力)
4章 新しい職人集団を作る人たち(木を使い、そして育てる飛騨の匠たち;実用品を作り続ける出雲の窯)
5章 職人を応援する人たち(長寿の島を支える民芸;すべてが職人の技で生まれた家)
著者等紹介
永六輔[エイロクスケ]
1933年東京・浅草に生まれる。作詞家として『黒い花びら』『上を向いて歩こう』などのヒット曲を手がける。伝統工芸を巡る取材は、ライフワークである
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
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どの職人の世界でも、後継者不足で、わざの継承に課題をもっていることは知ってはいた。だが、作品を介して、市場で評価される以上に、付加価値である、職人の魂に直接触れる、会話というものの意義が感じられる好著となっている。手間も暇もかかっている、という意味では、農山村の仕事全般に言えることである。しかし、工芸や民芸、手仕事は、道具を丁寧に維持し、維持された道具でいい作品を創り、それを次世代への贈り物として継承していく営みであろう。職人を通じてひとのこころの本質を見る気がする。2012/06/17