日経プレミアシリーズ<br> 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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日経プレミアシリーズ
弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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  • サイズ B40判/ページ数 344p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784296120345
  • NDC分類 332.107
  • Cコード C1233

出版社内容情報

「長引く円安」の真因に迫る
どこから外貨が流出しているのか 
デジタル赤字は10年で2倍、四半世紀で6倍に
外資系コンサルブームも「新時代の赤字」に寄与
頭脳流出を象徴する研究開発サービスの赤字
「虎の子」の知的財産権使用料にもデジタルの影
「新時代の赤字」は原油輸入を超える
経常収支は「符号」ではなく「キャッシュフロー」で

【著者より】
経常収支黒字国や対外純資産国というステータスは一見して円の強さを担保する「仮面」のようなものであり、「正体」としてはCFが流出していたり、黒字にもかかわらず外貨のまま戻ってこなくなったりしているという実情がある。その意味で、日本は「仮面の黒字国」とも言える状況にあり、統計上の数字からだけでは見えてこない「正体」に迫る努力が必要というのが筆者の問題意識である。

内容説明

経常収支黒字国や対外純資産国というステータスは一見して円の強さを担保する「仮面」のようなものであり、「正体」としてはCFが流出していたり、黒字にもかかわらず外貨のまま戻ってこなくなったりしているという実情がある。その意味で、日本は「仮面の黒字国」とも言える状況にあり、統計上の数字からだけでは見えてこない「正体」に迫る努力が必要というのが筆者の問題意識である。

目次

第1章 「新時代の赤字」の正体(為替を動かす「金利」そして「需給」;「成熟した債権国」らしい仕上がり ほか)
第2章 「仮面の黒字国」の実情(日本は未だ経常黒字大国;経常収支は「符号」ではなく「キャッシュフロー」で ほか)
第3章 資産運用立国の不都合な真実(一大テーマとなってしまった「家計の円売り」;家計金融資産の「開放」に伴う2つの懸念 ほか)
第4章 購買力平価(PPP)はなぜ使えなくなったのか(PPPで見るドル/円相場;使い物にならなくなったPPP ほか)
第5章 日本にできることはないのか―円圧を活かすカード(旅行収支は主攻になり得ない;対内直接投資促進に本腰となる日本政府 ほか)

著者等紹介

唐鎌大輔[カラカマダイスケ]
2004年慶大経卒、JETRO(日本貿易振興機構)、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局などを経て08年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。財務省「国際収支に関する懇談会」委員(24年3月~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

27
☆☆☆☆ もう日米金利差だけでは語れない構造的な円安について経常収支を軸として論じた良書。GAFAMが提供するプラットフォームサービスや外資系コンサル企業、海外の研究開発拠点への外貨の支払いは着実に増加し、サービス収支は「新時代の赤字」となっており、GDPに対する割合はわずかなインバウンドの旅行収支の黒字はかき消されてしまう。国内での研究・開発による所得の30%を課税所得から控除するイノベーションボックス税制。アイルランドはEUのデジタル関連収支の核。2024/10/28

かずい

7
国際収支による日本経済分析。経常収支は大黒字なのだが、貿易赤字、所得収支黒字となり以前の貿易所得とも黒字構造ではなくなった。金融収支でNISAによる米国投信への投資が増加、その分の赤字を外国人旅行客インバウンドで埋め合わせるという構造になっている。日米金利差やオルカンの投資ブームによりさらなる円安を引き起こすカラクリは面白かった。著者は原因はアベノミクスであるとしている。円の価値を落として途上国体質にはなったが、外資の対内直接投資頼みで選択肢が減ってしまい、先行きは暗い。2024/09/01

投資家M(ミニマリスト×読書家)

7
これは面白い。今後も円安だよなぁ〜となんとなくそう思ってたのですが、この本でなぜ今円安になってるのかがある程度理解できた。だから原発動かしたかったのかとか、移民を受け入れてるのかとか、色々クリアになった。ただ現状として日本国民を待ち受けてるのは、円安、株高、生活苦、つまりスタグフレーションだと思う。配られる配牌は決められないので、配られた配牌の中で最善の手を作りながら人生を楽しんで行きたいと思う2024/08/15

Kooya

7
常態化しつつある円安の要因を需給構造から分析し、その処方箋を提示した本。「経常収支が黒字であるにも拘らず何故円安が続くのか?」という疑問に対し、筆者はCFベース経常収支という考え方を用いて統計上の数字よりも円買いが少ない可能性を述べている。(コメント欄へ続く)2024/08/12

ossan12345

7
専門的で難しい部分もあったが精緻な円安の分析が勉強になった。日米金利差だけに原因を求めるのではなく、弱い通貨として円が忌避される結果として円安があること、忌避される理由もデジタル赤字の構造化、キャッシュフローベースの赤字、個人投資家による海外株式・証券への円流出などわかりやすい事例ばかりだ。インバウンドに頼ることなく対内直接投資を促進することが改善の一手になるとのことだが、果たして我々日本人がどこまで本気になれるか。「弱い円」を誰もが真剣に考えるべきとき。2024/07/31

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