出版社内容情報
篠 綾子[シノ アヤコ]
著・文・その他
内容説明
江戸は下谷に薫風庵という風変わりな寺子屋があった。三百坪の敷地に平屋の学び舎と住まいの庵がある。二十人の寺子は博奕打ち一家の餓鬼大将から、それを取り締まる岡っ引きの倅までいる。薫風庵の住人は、教鞭をとる妙春という二十四歳の尼と、廻船問屋・日向屋の先代の元妾で、その前は遊女だったという、五十一歳の蓮寿尼、それに十二歳の飯炊き娘の小梅の三人だけ。そこへ、隣家の大造が寺子に盆栽を折られたと怒鳴り込んできた。おまけに、城戸宗次郎と名乗る浪人者まで現れて学び舎で教え始めると、妙春の心に、何やら得体の知れない思いが芽生えてくる。
著者等紹介
篠綾子[シノアヤコ]
埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。主な作品に、『青山に在り』(第一回日本歴史時代作家協会賞作品賞)、シリーズに「更紗屋おりん雛形帖」(第六回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
80
江戸の薫風庵という寺子屋が舞台。この庵を仕切る尼さん・蓮寿尼と妙春尼の二人。蓮寿は元遊女で廻船問屋の主の元妾という酸いも甘いも嚙み分けた気風の良い尼さん。妙春は秋田生まれで藩学で教鞭を取っていた父親がある事で急死、家族を失ったため江戸に出てきた算術が得意な尼さん。寺子屋に集まる子供たちもそれぞれに特異性があり、彼らを導く方法を突然現れた浪人者・城戸とともに試行錯誤しながらの日々。突然、少女が攫われる事件が起こったり口やかましい母親たちとの折衝の中、成長していく子供たちを描いた江戸版・二十四の瞳。2022/08/19
じお
12
★★★☆☆ 元遊女で妾で今は尼の蓮寿尼が営む寺子屋、そこで子供を教える若い尼の妙春、日々平穏に過ごしていたが妙な事件と浪人者まで転がり込んできてさてはて、いつの時代もモンペはいるものの時代小説。面白かったです、重い過去を持つ主人公に訳アリの浪人、人生のベテランの女性に、個性豊かな子どもたちが織りなすハートフルなストーリーはベタな面白さがありますね。ただ今巻だけだと色々謎なままで終わるところが多く続刊を是非希望というところで。2023/07/29
ごへいもち
11
イマイチかなぁ2023/05/14
なおお
10
尼寺で若い尼僧が子供たちに教える日々。戸惑いがあり喜びがある。モンスターペアレントに上手く対応できず、困った時に頼りになるのが、この尼寺を開いた先輩尼僧だが、彼女は元遊女で妾上がり。そのおおらかな人柄で人々を和ませ、時には尼さんにあるまじき言動も。それが面白い!子供達が成長していく様も、なんとも嬉しい。2023/06/25
一五
8
篠さんにしては、まぁまぁ。良いのは こなれた人柄の蓮寿尼だけ。寺子の善蔵が沈み気味の理由は? 逆恨みの悪い奴は逃げっばなし?2023/02/25