冬に子供が生まれる

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冬に子供が生まれる

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  • サイズ 46判/ページ数 370p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093867078
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

著者七年ぶりの新作長編!直木賞受賞第一作

その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。
現実に起こりうるはずのない言い掛かりのような予言で、彼にはまったく身におぼえがなかった。送信者名は不明、090から始まる電話番号だけが表示されている。
彼が目にしたのはこんな一文だった。

今年の冬、彼女はおまえの子供を産む

これは未来の予言。
起こりうるはずのない未来の予言。
だがこれは、まったく身におぼえのない予言とは言い切れないかもしれない。
これまで三十八年の人生の、どの時代かの場面に、「彼女」と呼ぶにふさわしい人物がいるのかもしれない。
そもそも、だれが何の目的でこの予言めいたメッセージを送ってきたのか。
丸田君は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた──。

三十年前にかわした密かな約束、
二十年前に山道で起きた事故、
不可解な最期を遂げた旧友……

平凡な人生なんていったいどこにあるんだろう。
『月の満ち欠け』から七年、かつてない感情に心が打ち震える新たな代表作が誕生。読む者の人生までもさらけ出される、究極の直木賞受賞第一作!

内容説明

このメッセージは未来の予言。起こりうるはずのない未来の予言。だがこれは―今年の冬、彼女はおまえの子供を産む。その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。現実に起こりうるはずのない言い掛かりのような予言で、彼にはまったく身におぼえがなかった。送信者名は不明、090から始まる電話番号だけが表示されている。一方で彼は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた。記憶の足音が聴こえる、数奇な半生の物語が再生される。

著者等紹介

佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年長崎県生まれ。83年『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞受賞。2015年『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞受賞。17年『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiace9000

157
SFかホラーか否ファンタジーか、ジャンル分けは不粋にして不要か…。生まれ変わりをテーマとした『月の…』佐藤さんが描く、虚実混沌の不可思議なる世界観。伏線の役を担う「実」部分の丹念な描きがあればこそ、「虚」にあっても記憶の齟齬や不確実性という「実」を一層くっきりと浮かび上げ、読み手の保守性バイアスを駆使する読み筋を最後まで崩し続ける。謎解きストーリーに固執し過ぎることなく、それぞれの登場人物と同化して読むことができれば、人の「真」に触れることができよう。ラストの鮮やかで晴れやかな「虚」の余韻に深く浸りたい。2024/03/10

のぶ

136
この本のあらすじを書けと言われたら難しいが、小説としては面白かった。肝心なことを語らない登場人物たち。食い違いまくる証言。何が重要で、誰が主要なのかわからない。自分の読み手としての能力に何か問題があるのかと不安になる。意味のわからない登場人物の動きにイライラする。でもいつの間にか作品に引き込まれ、最後まで一気に読んでしまった。丸田君という男性のスマホに「今年の冬、彼女はおまえの子供を産む」という謎のメッセージが届く場面から物語は始まる。謎めいた冒頭からは思わぬ展開が待っている。内容は読んでみてください。2024/04/02

まこみや

128
佐藤正午についての覚書ー『鳩撃』『月満ち』『冬に子供』の物語構成上の共通点/ 1)ミステリ仕立て 2)プロットー終わりから始まる 3)人格の入れ替わり 4)記憶の曖昧さー記憶の捏造あるいは修正 5)語り手が物語の中に登場する /前二作はずいぶん前に読んだので、記憶が朧で正確でないかも知れない。2024/02/21

ムーミン

125
丁寧に丁寧に物語を紡いでいく感じに合わせて、語り手の思いに寄り添いながらゆっくりと読んでいきました。2024/05/14

Ikutan

88
『今年の冬、彼女はおまえの子供を産む』その年の7月に、マルユウこと丸田くんに奇妙なメールが届いた。そして8月に、もう1人の丸田くん、マルセイの葬儀がとりおこなわれる。冒頭からモヤモヤした内容で、マルユウ?マルセイ?ちょっと混乱しつつ読み進める。物語は二人と幼馴染みの佐渡くんの過去に。少年3人は30年前に不思議な体験をし、そしてその10年後、その体験を検証しに行き、事故に遭遇していた。後半は一気の引き込まれたなぁ。『月の満ち欠け』も不思議な物語だったが、今回も謎を残しつつ、想像力を掻き立てられる作品でした。2024/11/17

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